2月3日より全国65の郵便局で「キャッシュレス決済対応」がスタート。5月からは対応する郵便局を大幅に増やして展開していく予定のようです。
郵便局でのキャッシュレス決済は…
日本郵便の公式サイトによると、キャッシュレス決済対応の郵便窓口では、下記の商品がキャッシュレス決済の対象になります。
・郵便料金、荷物(ゆうパック、ゆうメール)の運賃
・切手、はがき、レターパックなどの販売物(印紙を除く)
・カタログ、店頭商品などの物販
また、決済に利用可能な決済ブランドは、下記の通りです。
・VISA、マスターカード、JCBなどの各種クレジット
・デビット、プリペイドカード
・iD、WAON、QUICPayなどの電子マネー
・Suica、PASMOなどの交通系ICカード
・PayPay、LINEPayなどのスマホ決済
一部自治体ではキャッシュレス化も?
行政サービスの分野では、千葉県習志野市役所が2月4日から他の自治体に先駆けてキャッシュレス決済を開始。
同市庁舎グラウンドフロアの市民課・税制課窓口などで、住民票の写し、戸籍謄本などの各種証明書の交付手数料を電子マネーやクレジットカードで支払えます。使える電子マネーは交通系ICカード、クレジットカード、電子マネー、QRコードを用いたスマホ決済です。
また、新潟県三条市役所では、窓口などでのPayPayによるキャッシュレス決済を開始。
同市では、各種証明書の交付手数料から始まり、公共施設の使用料、各種市税や負担金、実費徴収金などを順次PayPayによって決済できるようにしていくそうです。
さらに、栃木県小山市役所ではLINE Pay、WeChat Pay、NAVER Payによるキャッシュレス決済が、すでに各種証明書発行手数料の支払いに利用できます。
しかし 行政サービスは「現金払い」が主流
このように一部では始まりつつある行政サービスのキャッシュレス決済化ですが、対応している自治体は現段階だと少数派です。
「一般社団法人キャッシュレス推進協議会」に参加している京都府では、利用者から料金を徴収する府の57施設のうち、キャッシュレス決済が利用可能な施設は「スチールの森京都」1施設に限られています。
公共施設でのキャッシュレス決済導入が遅れがちな理由について、「京都新聞」は「端末機器費や決済手数料を運営団体や利用者でどう負担するかといった課題」と報じています(※「キャッシュレス、公共施設で対応進まず 京都府は1施設のみ 費用負担が課題」2019/10/25)。
政府のお膝元である国会内や、首相官邸内の食堂でも売り上げが少なく採算が取れないため、電子マネーやクレジットカードでの決済導入は見送られています(※時事通信「キャッシュレス、政界進まず=官邸、国会で未対応」2019/10/06)。
学校でも現金払いがいまだに主流?
栃木県宇都宮市にある宇都宮短期大学附属中・高では、生徒らの身分証明にnanacoの機能をつけたICカードを導入しました。
同校内の2店のコンビニエンスストアのレジや、食堂の食券販売機、飲み物の自動販売機などでは導入したnanacoで買い物ができる仕組みです(※下野新聞「生徒らの身分証に電子マネー 導入の動きじわり 栃木県内の私立中高」2019/9/2)。
しかし、多くの学校では旧態依然とした支払い方法が主流です。
「日経新聞」は、都内のある公立小学校では、給食費などの学校納入金に関してはゆうちょ銀行の口座を開設させられ、保護者が手数料を負担して口座振替をさせられることがある、と報じています(※「キャッシュレスは遠い話 学校・自治体は旧態依然」2019/1/3)。point 210 | 1
このように、学校や自治体では、キャッシュレス決済を先進的に導入していく所と、いまだ昔のままのシステムを使い続けている所に分かれている状況があるようです。
消費者のキャッシュレス需要は高いが…
日本クレジットカード協会(JCCA)がアクセンチュアとマネーツリーの協力のもと、746人の一般消費者と8654人の家計簿アプリ使用者に対して行った調査によれば、「キャッシュレス決済に対応していない店舗を避けることがありますか」という質問に対し、「常に避ける」「避けることがある」の割合を合わせると、一般消費者で41%、家計簿アプリ使用者では55%にも上っています。
また、キャッシュレス決済に対応していない店舗を避ける場合、どのような種類の店舗を避けやすいかという調査では、書籍、文房具、衣料品や食品などの生活関連商品や、ディナーやランチなどに利用する飲食店での決済がキャッシュレスに対応していない場合、利用を避けることが多いという結果が出ています。point 205 | 1
消費増税にともなうポイント還元政策の後押しもあってか、消費者の側のキャッシュレス決済に対する需要は高まってきているようです。その流れに従って、民間の商業施設、特に大手チェーンではキャッシュレス決済化が進んでいます。
行政サービスや公共施設は、導入が遅れているのが現状
今年の夏に開催される東京五輪・パラリンピックや、2025年の大阪・関西万博でのインバウンド(訪日外国人観光客)消費を見越して、政府が旗振り役として日本国内でのキャッシュレス化を推進していますが…
その一方で 行政サービスや公共施設、地方の公共交通機関などではキャッシュレス決済に対応していないところが いまだに多いようでもあります。