近年、鉛筆を握ることに苦戦する子供が増えているそうです。その原因として「電子機器」が挙げられますが、その代表的なものとしてスマホやタブレットPC、ゲーム機などの使い過ぎにより、鉛筆を握る筋肉が十分に発達していないためだと指摘されています。驚くことに「多くの子供達が電子機器の使い過ぎにより、文字がうまく書けない」と警告されるほどです。電子機器の使い過ぎによる問題は今に限った話ではありませんが、特に成長期の子供にとっては発達の遅れ、障害により正常な成長過程を害することもあり、注意が必要とされています。
子供の「身体活動」は遊びを超えた「身体的・知的・情緒的」な成長過程
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子供の身体活動は体力のもとになる筋力の発達、また体のバランスと成長を助ける骨格の発達、また神経系のバランスの取れた発達が大変重要とされています。また、柔軟性と平衡性、敏捷性、瞬発力、判断力などを向上させ、身体と安全を維持し、事故を予防する時も必要不可欠です。健康な身体活動による体力の上昇は自信を高め、積極的な性格を形成する際にも有利に作用します。また、運動により身体を多様に動かし、運動の方法と方向、距離、高さ、空間概念などを総合的に理解することで、知的能力まで発達させることができます。年齢が近い子との身体活動は協力と責任、礼儀、秩序、規則、時間厳守、寛容などの態度を身につけるようになり、社会性、配慮、対人関係などの発達にも重要な役割を果たします。
電子機器の使い過ぎによる筋肉・骨格の健康問題
電子機器はおもちゃ、楽器、運動器具などを利用する時間を奪い、筋肉の発達を妨害することも。特に幼児期は、目と手の筋肉の機能が急速に発達する時期であるため、成長時期に合う身体活動は必須です。
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ストレートネック
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大人にも多い電子機器の使用によるストレートネックの症状。頭を前に突き出した状態で電子機器に没頭することで、だんだん頚椎が本来のSラインではない真っ直ぐな状態になる症状のことをさします。これは脊椎のバランスを崩し、変形をもたらし、成長の発達までも脅かします。
肩こり
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ストレートネックとともに電子機器の使い過ぎにより姿勢が悪くなる代表的な症状として肩と背中のこりが挙げられますが、これは慢性的な筋肉痛と肩の痛み、頭痛などを引き起こし、集中力と学習力を低下させることも。
脊柱側わん症などの体型の変化
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専門家は運動不足により多くの小学生が肥満、姿勢の悪さに悩まされ、筋肉の発達が十分ではないと指摘しています。脊柱側わん症と関連する症状として、首と肩、腰、骨盤などの慢性的な痛みが起こり、集中力低下、慢性疲労などを同時に引き起こします。何よりも脊柱側わん症は発症する年齢が幼いほど、脊椎がゆがむ症状がよりひどくなり、見た目のコンプレックスまで生じるという心理的問題にまでつながることも。
骨折などの事故
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年齢を重ねるごとに骨折などの事故の危険性が高まることは筋力低下が大きな比重を占めていますが、身体活動が不足し、筋肉が発達しにくいということになれば、子供にも同じ影響を与えかねません。
睡眠時間短縮による成長の遅れ
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睡眠前の電子機器の使用は覚醒状態を促進し、眠れなくなりますよね。これは成長ホルモンの分泌にも影響を及ぼします。子供が深い眠りについている間、成長ホルモンが分泌されますが、大体午後10時から夜中の2時の間に一日の分泌量の60~70%が集中します。しかし、夜遅くに電子機器を使用すれば、睡眠時間が特に深い眠りにつくべき時間が減り、成長ホルモンの分泌にも影響を与え、これは成長を妨げる原因になります。