カルシウムのサプリメントが、脳卒中などの脳血管疾患の兆候をもつ高齢女性の認知症のリスクを高めるということが、スウェーデンのある研究で明らかになりました。
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研究者によると、高齢女性は骨粗鬆症のリスクが高まることから、骨の成分であるカルシウム不足を補う必要があるそうです。しかし、通常の食事からはなかなか必要なカルシウムを補うことが難しいこともあり、医療機関などでしばしばサプリメントの摂取が推奨されるそうです。また、高齢女性に多く見られる脳卒中は、脳の微小血管が血栓で目詰まりするか、逆に切れて出血することで起こり、しばしば死に至る重篤な疾患ですが、軽度であっても認知症のリスクを高めることが知られています。脳卒中は、かつては日本人の死亡原因のトップであり、現在でも常に上位に入っていることも事実です。
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そこで今回の研究では、70-92歳の開始時に認知症ではなかった700名の女性を対象に5年間の追跡調査を行いました。研究の開始時と終了時に記憶力など認知機能試験を受けるとともに、そのうち447名については、CTスキャンで脳の状態を検査されました。対象者の女性はまた、カルシウムサプリメントの使用状況と、認知症の診断状況についても追跡期間を通じてモニターされ、開始時に98名の女性がカルシウムサプリメントを摂取していました。開始時にすでに54名の女性が脳卒中を一度経験済みでした。追跡間中に54名が新たに脳卒中を発症し、59名は認知症と診断されました。また、CTスキャンを受けた女性のうち71%には、脳血管疾患の兆候である白質病変がみられていました。
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これらの研究のデータ解析の結果、カルシウムサプリメントを摂取していた高齢女性は、摂取していなかった女性に比べて、認知症を発症するリスクが2倍に高まることが明らかになりました。しかし、もう少し詳細に解析したところ、リスクが高まったのは、既に脳血管疾患をもっていた女性に限られることがわかったといいます。また、脳卒中の既往を持つ女性では、カルシウムを摂取すると、摂取しない場合に比べて、リスクは約7倍も高まったといいます。白質病変がみられた女性でも、カルシウムの摂取で、そうでない場合に比べて、リスクは約3倍に高まりました。脳卒中の既往も、白質病変も見られなかった女性では、カルシウムサプリメントは認知症のリスクを高めることはなかったといいます。
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具体的には、サプリメント摂取群98名中14名(14%)、非摂取群602名中45名(8%)が認知症を発症しました。脳卒中の既往のある女性では、摂取群15名中6名、非摂取群98名中12名が、そして脳卒中の既往のない女性では、摂取群83名中18名、非摂取群509名中33名が認知症を発症しました。
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研究者によると、最も重要なことは、私たちの研究が観察的なものであるということなんだそうです。要するに、この研究結果は、カルシウムサプリメントが認知症の原因であるというような因果関係を導くものではなく、本研究が小規模なものであり、すべての人に当てはまるわけではないこと、確認のために更なる研究が必要であると述べています。食事に含まれるカルシウムは、通常サプリメントからのカルシウムとは異なる形で身体に作用するので、認知症を促進することはなく、むしろ保護的に働くでしょう。