皆さんは毎朝朝食をしっかり食べているでしょうか?実は、今回の研究で、朝食を全く食べない人や、少ししか食べない人は、動脈硬化のリスクが高まるという結果が明らかになりました。これまでの実験でも、健康的な朝食をきちんと摂ることが肥満や高コレステロール血症を予防し心臓を健康に保つことや、朝食欠食が冠動脈疾患のリスクを高めることなどが指摘されてきてはいましたが、本研究では病気にまだ至らない無症候性の動脈硬化にも朝食が影響していることが明らかになったのです。
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研究チームは、「いつも朝食を欠食するような人々は、生活習慣全般が不健康な傾向が高いのです」と語っています。続けて、「本研究は、この悪い習慣(朝食欠食)を積極的に止めることで、心疾患のリスクを低下できるというエビデンスを示しています。」と述べました。研究では、心疾患や腎疾患のない男女を集めて、コンピュータによる質問票で普段の食生活について調査することにしました。そこでは朝食のパターンや朝昼晩の摂取カロリーの配分などが調べられました。参加者は、得られたデータを元に、朝食摂取に関して次の3つのグループに分けられました。
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■朝食欠食群:朝食のカロリー摂取量が1日分の5%未満(朝食を食べないか、あるいはコーヒーやジュースしか飲まない)のグループ
■低カロリー朝食群:朝食のカロリー摂取量が1日分の5%以上20%未満のグループ
■高カロリー朝食群:朝食のカロリー摂取量が1日分の20%以上のグループ
参加者 4,052名中、3%の者が朝食欠食群、70%の者が低カロリー朝食群、27%の者が高カロリー朝食群でした。データ解析の結果、高カロリー朝食群の者と比較して、朝食欠食群の者は、動脈硬化を有するリスクの高いことが明らかになり、意外なことに、低カロリー朝食群の者にも同様に高い動脈硬化リスクのあることが明らかになったのです。しかも、心臓代謝系のリスク指標も、朝食欠食群と低カロリー朝食群の両方で高い傾向がみられました。
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また、朝食欠食群は腹囲、肥満指数(BMI)、血圧、血中脂質、空腹時血糖などの値も高かったのです。さらには、生活習慣全般が不健康である傾向が高く、貧しい食生活をしがちな上に飲酒や喫煙の頻度も高かったといいます。高血圧や肥満の割合も多っかたのですが、肥満者に関しては、朝食を食べないから太ったのではなく、逆に太ったから減量のために朝食を食べない可能性もありますね。研究者は、「心血管系疾患のリスク因子との直接的な関連がなかったとしても、朝食欠食は、動脈硬化の進行を促進する不健康な生活習慣の指標に使えるでしょう」と語っています。
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つまり、貧しい食生活を若いうちからずっと続けていると、心血管系疾患を発症するリスクが高くなります。朝食欠食の悪影響は、小児肥満などのかたちで幼いころからすでに現れるので注意が必要です。さらには、朝食欠食はホルモンバランスを崩したり体内時計を狂わせたりする可能性もあります。朝食が1日の最も重要な食事であることは、今回の研究結果からも明らかになったので、当てはまる人は朝食をしっかりとるなどして、改善する必要があるでしょう。