「いま109前にいて、援助してくれるおじさんを探してるんですが、どうしたらいいですか?」わずか小学5年生にして、衝撃的な内容を真剣に悩み、相談してくる子供が多くいるのだといいます。
「アダルトチルドレン」や「プチ家出」の生みの親として知られ、フリーライターであり書籍編集者の今一生(こんいっしょう)氏。1997年に出版された『日本一醜い親への手紙』は、親から虐待された人々の体験記をまとめた著書で、他にも1999年に出版された『完全家出マニュアル』など、こうした本を出版して以来、今氏の元には、虐待や生活困難な若者から相談のメールが多く届くといいます。ある日、小学5年生の女子児童から今氏の元に相談のメールが届きました。point 279 | 1
「援助してくれるおじさんを探してる」と連絡してきた女児は、児童養護施設を脱走し、渋谷にいるのだといいます。児童養護施設では、外出にも交際にも許可が必要ですが、その子は職員に強烈な不信感を抱いているようでした。売春をしようと思った理由は、「風俗をやっているママを助けたい。私はまじめです」と書いてあり、父親が刑務所に入ってしまったために、母親が一人で暮らしていけるのかが心配だということです。まだ性体験もなく、何をすればお金が入るのかもわかっていない女児は、今氏のブログで書かれていた「虐待されているなら家出してもいい」という言葉を見て、この人なら理解してくれると思って連絡したのだといいます。point 363 | 1
他にも、「毎晩のように違う男の人がアパートに来るんで、家にいられない」といった相談メールもあったと今氏は語ります。彼女の父親はすでにおらず、うつ病になった母親は生活保護を受給し、昼間はほぼ寝たきりとなってしまっているそうです。そんな中でも母親が「違う男の人」を必要としているのは、「生活保護の給付額ではこれから娘にかかる進学費や衣服代などを賄えない不安があるからだろう」と今氏は推測しています。そのため、学校から帰ると夜な夜な自宅から駅まで歩き、その周辺を歩いたり、ベンチで横になったりしながら朝を迎え、そのまま学校へ行く生活をしているのだそうです。point 334 | 1
また、駅前交番の巡査とは顔馴染みとなっているものの、巡査もすでに彼女の家は行政サービスは受けており、従来の虐待の定義では児相案件になりにくいため、手の施しようがないという状況のようです。彼女とは電話で何度も話を聞き、詳細な環境を把握したという今氏。男性との交際経験もない彼女は、屈託のない声で「だから、ワリキリでもやろうかなと思ってるの。よく声をかけられるし」と、どこか他人事のように売春を語っていたと振り返りました。このように、売春行為におよぶ未成年の子供達にとっては、他に選択肢がない状況が多いことを指摘しています。point 322 | 1
相談してくる子供達の中には、親を助けたいという子供達の他に、親からの虐待により身も心もボロボロになっていく子供達がいます。今氏の元には、「家さえ出れば、安心できるのはわかってます。でも、もう家を出る勇気がありません。母親を一人にすることもできません。僕はもう、死ぬしかないんでしょうか」と、親元を離れたくても離れられない若者からの相談メールも届くそうです。そこで、「親権は、『保護』『教育』の美名の下で子どもを支配している」と主張する今氏。日本の子どもが親権者の奴隷である以上、民法を改正しない限りは居場所のない子に居場所を与えたくても、制度の壁に阻まれてできないのだといいます。point 344 | 1
文部科学省の調査によると、2018年度の1年間に自殺した小中学生と高校生は332人であることがわかっていて、1988年度以降、最も多かったといいます。切実に悩み苦しんでいる子供達のSOSに、あなたならどう答えますか?