連日報道されているあおり運転殴打事件ですが、実は2018年に保険会社チューリッヒが行った実態調査によると、あおり運転の被害にあったことがあるドライバーは70%にも及ぶといいます。傷害罪で逮捕された宮崎文夫容疑者(43)のように、「車体を接近させて、もっと速く走るよう挑発された」という危険な行為をするドライバーが事件になっていないだけで、数多くいるようです。
今やどの車にもドライブレコーダーをつける人が多く、明るみになっていない“あおり運転”などの危険な運転行為も、SNSを通して人々に拡散されることで事件となるケースが多くなってきています。さらには、今年3月に開設された「NumberData(ナンバーデータ)」というサイトでは、あおり運転をした車のナンバーなどを記録したドラレコ動画を被害者が投稿することができるというのです。このサイトには、すでに約1万件ものナンバー情報が集まってきているとのことで、サイトの運営者が取材に答えました。
「このサイトを立ち上げたのは、2017年の東名高速でご夫婦が亡くなった事件をきっかけに、あおり運転が社会問題化したからです。並行してドラレコが普及し、ツイッターやユーチューブにあおり運転の動画がアップされるようになりました。しかし、そうした情報は個々で公開しても埋もれていくだけなので、投稿の場を作ったほうがいいと考えました。それによって、あおり運転が抑止されたり、誰もが安全運転を心がけたりするようになればと思ったのです」
他にも、同サイトには、危険なあおり運転だけでなく、スピード違反や信号無視、当て逃げ、迷惑駐車・無断駐車などの悪質行為をしている車の情報も投稿されていて、細かな車の情報や当時の状況が共有されているとのことです。このサイトを利用する目的としては、自分が頻繁に使う道路で起きた悪質行為の情報を事前に検索して警戒すべき車のナンバーを覚えておくことができるため未然にトラブルを防ぐことができます。それだけでなく、自分が被害者となった際も、ナンバーで検索をかけて同じ車が過去にも悪質行為をしていないかを調べることで、より多くの証拠を持って警察に相談することができます。
投稿数は1日に100件を超えることもあり、今月だけで3000件以上の情報提供があったといいます。その背景には「宮崎容疑者の事件後に閲覧数が増え、時間によってはサイトにつながらなくなることも。1日に数万人単位の閲覧があると思います」とサイト運営者は語っています。情報をドライバー同士で共有できる強みを持つ同サイトですが、ナンバーの掲載だけでなく、「一連指定番号別の悪質車両ランキング」も公開されていることでも話題となっています。
このランキングは、危険運転などの投稿があった車のナンバーの傾向を調査したもので、1位は「8888」、2位「・・・1」、3位「8008」、4位「・・・5」、5位「・・・8」という末広がりの「8」ナンバーが多い傾向にあるようです。他にも、「地名別の悪質車両ランキング」では、1位横浜ナンバー、2位名古屋ナンバー、3位浜松ナンバー、4位熊谷ナンバー、5位大阪ナンバーの順となっていて、登録台数の多い地域が上位に上がってきてしまうのを見ると、悪質運転と地域性を短絡的に結びつけることは厳しいかもしれません。しかし、あおり運転を警戒する意識を高める上では、こうしたサイトがあるというだけでも効果があるのではないでしょうか。