今月19日、第168回目となる芥川賞の選考会が行われました。そして、仙台市出身で、書店員の佐藤厚志さんの「荒地の家族」が芥川賞に選ばれました。
20日、NHKの単独インタビューに応じた佐藤さんは作品に対し、「震災は起こって終わりではない」という思いを込めたと語りました。
選考会は19日、東京で開かれ、芥川賞に井戸川射子さんの「この世の喜びよ」と、仙台市出身で書店員の佐藤厚志さんの「荒地の家族」の2つの作品が選ばれました。
受賞した小説「荒地の家族」は、亘理町に住む40歳の植木職人の男性が主人公で、東日本大震災の津波で、主人公は仕事道具を失い、さらに震災の2年後には妻を病気で亡くすなど、喪失感を抱えながら、生活をたてなおそうと、もがく姿が描かれている作品です。
佐藤さんは、現在の心境について「落ち着いたような感じです。いまは、次々とくる取材について目の前のことをこなそうとしているところです。お祭りなので、また落ち着いて執筆していけるよう、いまはがんばろうかなとおもっています」とコメントしていました。
また、なぜ震災をテーマとした理由について、「時間がたったとはいえ、震災は起こって終わりではなく現状が目の前にありますし、その中で拾われていない思いはたくさんあると思っています。そうしたことを小説で受け止めて表現できればと思ってこの作品を書きました」と語っていました。
そして、これからも大切にしたいことばは「日常大事!!」とし、「作品の中の荒地の家族は、日常を描くことを中心に置いていました。私自身も、小説の執筆について日常を重ねるように書いていくスタイルがあるので持続してこれからも仕事していければと思います」と話していました。
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