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妊娠時の葉酸欠乏の深刻化…!世代を超えて続く葉酸不足の悪影響とは?


胎児の成長に欠かせないビタミンのひとつである葉酸。最近ではテレビなどのメディアを通しても、妊娠中の栄養をしっかり補うために、葉酸摂取を推奨している呼びかけを見るようにもなりましたね。実は、受胎前後の時期に葉酸が不足していると先天異常のリスクが高まるといわれていますが、カナダの研究チームは、妊娠時の葉酸欠乏が胎児のみならず、その子や孫・ひ孫の代まで数世代にわたって悪影響を及ぼすようだということを報告しました。


写真:woman.mynavi.jp

この問題に伴い研究チームは、「私たちの研究は、葉酸の代謝に関与する遺伝子の変異についてのものですが、通常の食事から摂る葉酸の不足によっても、遺伝子変異の場合と同様に後の世代まで悪影響を及ぼす可能性があります」述べました。妊娠時に必要とされる葉酸が不足していると、神経管閉鎖障害という先天性異常のリスクが高まることは良く知られており、欧米では、小麦粉やシリアルに葉酸を添加するなどして葉酸不足を防いでいる国もあります。最近では日本でも妊娠予定のある女性には葉酸サプリメントの摂取が推奨されていますね。その理由としては、神経管閉鎖障害は妊娠の極めて初期の葉酸欠乏が原因となるので、妊娠に気付いてからあわてて葉酸サプリメントを摂っても手遅れの可能性が高いからなんです。point 399 | 1

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写真:smartask.biz

しかし、これまでの研究でも、葉酸不足が後の世代に及ぼす影響の大きさはわかっていませんでした。葉酸強化政策には一定の効果が見られたものの完全でないのは、葉酸欠乏の影響が完全に取り除かれるまでに数世代を要することもその理由のひとつだろうと、研究者たちは語ります。実験では、マウス(二十日鼠)を用いた動物実験が行われ、葉酸欠乏がどのようなメカニズムで先天異常をおこすのかを検討しました。「研究は、Mtrrと呼ばれるマウスの遺伝子から始まりました」と研究者は語ります。続けて、「研究目的はMtrrの遺伝子変異がどのように葉酸代謝に影響するかでした。結果として、まったく予期しなかったような複数世代にまたがる影響がみられたのです。」と述べました。point 383 | 1

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写真:eiyouryouhou.jp

Mtrr遺伝子とは、葉酸代謝の鍵となる酵素を作り出す遺伝子であり、その遺伝子の突然変異は、葉酸欠乏症と似たような効果を持ります。今回の研究により、研究チームは、母方の祖母か祖父にこのMtrrの突然変異があったとき、遺伝的には全く正常な子ども(祖父母からみた孫)に広い範囲の発達障害が観察されることに気が付いたといいます。それは子どもがMtrrの変異遺伝子を持っていなくても起こりました。しかも、その影響はその子孫(ひ孫や玄孫)にまで及んだというのです。この何世代にもわたって受け継がれていく発達障害は、遺伝子の変異によるものではなく、エピジェネティックな変化であることを研究チームは発見することに成功しました。エピジェネティックな変化というのは、遺伝子の発現を調節するスイッチをオンオフするような変化のことで、具体的にはDNAが化学的に修飾される現象をさします。これによって遺伝暗号自体は変わらなくても「変化」が子孫に伝わるというのです。point 487 | 1

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写真:news.yahoo.co.jp

従来、このエピジェネティックな変化は世代ごとに洗い落とされてなくなると思われていましたが、今回の結果から、Mtrr遺伝子の突然変異によってできた痕跡は、何らかの理由によって消えることなく次の世代へと継承されていくのではないかと研究チームでは推測しています。生物の発生にとって重要な遺伝子の、間違った痕跡が継承されてしまった結果、遺伝子は本来の機能を果たすことができないために、発達異常をもたらし、それがさらに間違った遺伝子のオンオフを結果としてもたらすのではないかとも言われています。これらの研究は、生化学的なメカニズムの解明と世代を超えた影響の複雑さに新たな洞察を与えるものだろうと研究チームは語りました。point 373 | 1

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