天童新太さん原作の「家族狩り」は2014年7月~9月にドラマ化されました。原作とドラマでは少し違う部分もあります。あらすじを見ていきましょう。
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あらすじ
都内で頻発していた一家心中の現場で、刑事馬見原はかすかな匂いを感じます。前の現場でも感じたこの匂いに違和感を覚えた馬見原ですが、家庭の不和から最近は仕事に熱意がなく、周りからは敬遠されていました。一方、児童ケアセンターで児童心理士をしている氷崎游子は、熱心なあまり役所や警察では「クレームばばあ」として疎まれていました。
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虐待され衰弱した子どもにすぐにケアできるよう、いろんなものがいっぱい入ったカバンを手に、今日もDVで問題の駒田家に向かいます。しかし游子も家では父の認知症や母の無力さに悩まされていました。また、一家心中事件の近所に住んでいた美術教師の巣藤浚介は美術教師として勤めながらも悶々とする日々を過ごしていました。彼も実は家庭に対してコンプレックスを抱えていたのです。
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再び起きた一家心中の現場に、やはり違和感を感じる馬見原は、この事件には外部からの侵入者がいると確信します。以前偶然出会った氷崎游子が犯人ではないかとにらむ馬見原ですが、心を病んだ妻よりも以前知り合ったDV被害医者冬島綾女に心を寄せてしまい妻を自殺未遂に追い込んでしまいます。美術教師の巣藤は少年たちに襲われケガをしたあげく記憶をなくしてしまいます。
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しかしなぜか「ヒザキユウコ」という名前だけを憶えていました。認知症の父を助けたことから知り合いになっていた二人でしたが、巣藤にとっては婚約者よりも大切な存在になっていたのです。お互い家族に対して複雑な気持ちを抱いていたのですが、お互いがその呪縛を解きほぐしあい、二人はやがて「いいコンビ」といわれるようになります。
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ところが、やはりやりすぎなところがある氷崎游子は、役所から契約を打ち切られそうになります。それを助けてくれたのがベテランボランティア山賀葉子でした。游子の抱える案件に手を差し伸べてくれる山賀ですが、単なる知り合いと思われていたシロアリ駆除業者の大野甲太郎と実は元夫婦の関係でした。二人は以前、家庭内暴力をふるっていた子どもを手にかけた過去があったのです。過去の自分たちと同じような「末期症状」の家で親を拷問し、半殺しの目に合わせながら子どもを「愛している」と言わせる儀式「家族狩り」をしていたのでした。馬見原が気づいた匂いは、山賀が氷崎に罪を擦り付けるためのアリバイ工作だったのです。
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問題を抱えた家族を見つけると家族狩りを始める恐ろしい夫婦は、結局最後は行方知れずのままでした。解決したかに見えた一連の事件、新たな一歩を踏み出した氷崎游子や巣藤でしたが、一本の相談の電話が山賀葉子を想起させる相談員によって受け付けられていたのでした。
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誰が真犯人なのかというサスペンスの要素と同時に、登場人物が抱える家族の重さをそれぞれ描いていた重厚な物語でした。