自治体職員を名乗った人物が高齢者などを中心に、「新型コロナウイルスのワクチン接種の予約を代行する」との虚偽の文句で、金銭を要求されたとの被害相談が東京都内をはじめとした全国で相次いでいます。 警視庁によると、現在、コロナワクチンの接種を行っていることを利用した新たな詐欺の手口とみていて、自治体と連携するなど被害への対策を強化しています。
東京都庁犯罪抑止対策本部によると、今年に入ってから新型コロナに関連した詐欺被害は、都内だけで18件もあげられていて、総被害額は、約2700万円にのぼっているとのことです(18日時点)。
国民生活センターによると、新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐって、電話等で「予約を代行する」「優先順位を上げる」と言われ、金銭や口座番号を要求されたという被害相談は、全国では44件(同)も寄せられているそうです。
東京都杉並区と警視庁荻窪署など区内の3か所の警察署では、ワクチン接種が始まった5月17日に、ワクチン接種会場を訪れた高齢者に対して詐欺被害防止の呼び掛けを実施し、注意喚起を促しました。さらに、電話の受話器に貼っておくと、受話器を取った際に「お金の話、カードの話は詐欺! だまされないで!」との音声が流れる仕組みになっている防犯グッズ「サギストッパー」なども同時に配布しました。
加藤裕三荻窪署長は、「特殊詐欺は昨年から大幅に増えており、(不審な)電話に十分注意してほしい」と、現在の社会状況を利用した詐欺が増えていることについて話しました。さらに、目黒区の碑文谷署の松本俊彦副署長は、「ワクチン接種が始まったので、新たな手口への対策を取っていきたい」と、新たな手口の詐欺の対策に意気込みを語りました。
なお、同署では昨年10月にオリジナルで「特殊詐欺被害防止カード」を1000枚以上も作成し、高齢者を中心に配布しているそうです。キャッシュカードより縦が数センチ長く作られており、キャッシュカードと重ねて財布に入れることで「危ない!! 渡すな!!」という文字が目に入るようになっており、詐欺などへの注意喚起につながるとのことでした。