私が痛みを知らなければ、感謝の気持ちも知らなかっただろう…。私が悲しみを知らなければ、喜びも知らなかっただろう…。

痛み、悲しみがあるからこそ「感謝」を知ることができたというある人の言葉…。この人にとって「感謝」という辛い人生を生きていくための原動力であった。

最近各種オンラインコミュニティには、2013年1月KBS1「講演100°C」に出演したキムフィアさんのエピソードが紹介されており、話題になっている。

大邱に住むキムさんは幼少期から保育園で育ってきた。ある日おくるみに包まれたまま保育園に捨てられたというキムさんは、親の顔も名前も知らない。

「フィア」という美しい名前でさえ、本当は誰が名付けてくれたのかも知らない。

キムさんが保育園に預けられた理由は、おそらく左の顔半分を覆われた「母斑」が原因だったのだろう。母斑とは自然に皮膚にできてしまったアザやほくろの多くが含まれている。

キムさんは子供の頃から顔が人と違うという理由で、人々の冷たい視線と差別を受けた。その中でも、数十年が過ぎた今も、これからも一生忘れられないことがある。

小学校3年生美術の時間だった。キムさんは保育園に住んでいたため、美術に必要な道具を揃えることすら大変だった。

先生は必要な準備物を持って来なかった10歳のキムさんを前に出させ、約50人を超えるクラスメイトにキムさんの顔の絵を描かすように指示した。

それから10分が過ぎただろうか、、。50枚の画像の中に描かれた自分の顔を見てキムさんは気づいた。他人がこれまで私をどのように見てきたのかという言葉だ。

子供たちが描いた絵の中の顔は赤、紫に斑点が塗られていた。

キムさんはその時の記憶を思い出しながら、「当時、子供だったフィアがもし’しぬ’ということを知っていたならば、その道を選んでいたんじゃないか…」と打ち明けた。

そうして、キムさんは先生の主導の下、友達の前で恥をかき、学生時代を通して友達と付き合うことすらなかった。

キムさんはそれでも生きなければならないと、自分への感謝の気持ちを探した。知らない人から指を差されても、差別されても、自分は肯定的に生きると決めた。

その後、キムさんもいつのまにか大人になって恋に落ちるようになった。彼女は厚化粧で母斑を隠し、彼に出会った。

月に1，2回ずつ、こうして1年がたった時だった。素顔で偶然彼氏に出くわしてしまい、この事実を知ってしまった彼は、自分から離れていってしまうのでは…と恐れてしまった。

他人が自分の素顔をどのように見るか、知っているからだった。

しかし彼氏は変わらずキムさん愛し、さらにキムさんの右の顔に上顎癌（鼻の中に生じた癌）が生じた時もそばを離れなかった。

キムさんのきれいな心を愛していた彼氏は現在夫となり、今では二人の娘と一緒に幸せな家庭を築いている。

キムさんは、自分の幸せの秘訣を「感謝」と説明する。彼女はまた、自分を捨てた両親にも恨みの代わりに「産んでくれてありがとう」という言葉を伝えたいと語った。

その後、キムさんは複数の番組に出演し、本も出版した。肯定の力を伝播する講師としても活躍している。

自分の痛みを感謝に変え、その結果をさまざまな人々に共感させるキムさんの姿は多くの人々に響きを与える。

「私が痛みを知らなければ、感謝の気持ちも知らなかっただろう…。私が悲しみを知らなければ、喜びも知らなかっただろう…。」

キムさんが伝えているこの言葉の意味が何なのか、もう一度改めて考える瞬間だ。