デビュー50周年を迎えた松任谷由実さんさんは、数々の名曲だけでなく、CDジャケットのデザインやツアーの演出もこだわっています。松任さんは以前「アートワークは私にとっての羅針盤です」とも語っていました。
Spotifyと朝日新聞ポッドキャストは、「ユーミン: ArtistCHRONICLE」を制作し、ユーミンの足跡と日本社会の変化を振り返りました。5回目で、ユーミンのアートワークを担当する、アートディレクターの森本千絵さんを招き、対談しました。そのほかにも、森本さんと親しい朝日新聞の小泉信一編集委員と、朝日新聞ポッドキャスト・チーフMC神田大介さんが共演しました。
MC神田さんが森本さんに対して、「2013年の「POP CLASSICO」、2016年の「宇宙図書館」など、ユーミンのアルバムのジャケットを中心にアートワークを手がけていますね。」と話をふると、森本さんは、「はい。2020年の「深海の街」も手がけました。プロモーションビデオも作りますし、寅さんの格好をして映画「男はつらいよ」50周年のポスターも作りました。」と答えました。続けて神田さんは、「「POP CLASSICO」はアルファベットでP、O、P……と11文字。非常に凝ったデザインのなかに、ユーミンも見え隠れしていますね。」と話すと、森本さんは、「サンゴの絵を交えてコラージュで大きな文字を1文字ずつ作り、撮影しました。きっかけは、山田洋次監督の率いる撮影チームの皆さんに誘われ、鹿児島県の奄美大島へ行ったことです。「POP CLASSICO」の企画ができなくて時間がなかったけど、海に潜ったらサンゴの世界の中にユーミンが見えてきた。慌てて帰って「P」から「O」まで11文字を描き上げました。」
撮影には2日間かけたそうで、「ユーミンが毎回、違う衣装に着替え、写真家のレスリー・キーさんが撮影しています。衣装でユーミンの動きが指先まで変わって、すごいんですよ。「私はユーミンの奴隷だから」と、ユーミンは言っていました。」と森本さんは語りました。
続けて「「何時までかかってもいい。みんなのユーミンだから」と、少年みたいな格好にも、おじさんみたいな格好にもなって、すごいサービス精神で挑んでくれる。そんなユーミンに魅せられて、2日間かかっちゃいました。すごいプロフェッショナルだと思います。」
「POP CLASSICO」の中で印象に残っている曲を聞かれた森本さんは、「「MODÈLE」です。その曲がNHKの番組「ユーミンのSUPER WOMAN」の主題歌でした。そして番組1回目のゲストとして、初めてユーミンに会い、和歌山県の高野山に一緒に泊まりました。収録の時、ユーミンに「女に貫禄はいらないの。変に意固地に貫禄を持って、男みたいに気負って働かなくていい」と言われたんです。「MODÈLE」を聴くと、その時間と言葉を思い出して、初心に帰ります。」と話していました。
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