津波が襲ってきた瞬間、老母、妻、そして、息子が水に沈んでいくその瞬間。
男性は、誰の手を取るべきなのか、瞬間にパニックに陥ったのです。
考える暇なんてありません。結局、彼は妻に向かって手を伸ばし、妻の命を救いました。
幸いなことに、妻の命は助かったが、残りの老母と息子は、冷たい遺体だけが戻ってきたのです。
家族の遺体を見つめながら、男性は深くうなだれることしかできませんでした。
12月25日(現地時間)、イギリス日刊デイリーメールは、家族が生活の岐路に立った瞬間に、妻の命を先に救ってくれた、男性ウッディン・アホーク(Udin Ahok)の話を伝えました。
22日の夜、インドネシアのスマトラ海岸に住んでいるウッディンは、普段と変わらずにベッドで寝ようとしていました。
しかし、しばらくして、ウッディンは床に水の音がして、起き上がってチェックしに行きました。
実は22日、インドネシアスンダ海峡を襲った津波がウッディンの村にまで影響を及ぼしたのでした。
当時、ウッディンの横には、70歳の老母と、1歳の息子が寝ていました。
彼は、いち早くも老母と息子を移動させようとしました。
ところが、ウッディンは別の一人を発見しました。
それは、既に水の中に沈んでいった、死んでいる妻でした。
ウッディンは老母と息子を目の前にして悩んだ末、妻のいる方向へ向かっていきました。
ウッディンは気絶した妻を胸に抱いて、家の外に出ていきました。
幸いなことに、ウッディンは妻を安全な場所に避難させることができたが、同時にウッディンの母と息子の生きて戻ってくる姿は、二度と見ることができませんでした。
命が助からなかった老母と息子は、次の日に津波の残骸の中で、死体が発見されました。
ウッディンは、「母と息子を生かす時間がなかった」、「その瞬間を思い出すたびに苦しい。もしもその瞬間に違う選択をしていたら、どのようになったのか、時には後悔をすることもある」と涙を流しながら、話していました。
12月22日、アナククラカタウ火山が爆発して、巨大な高さの津波が発生し、インドネシアスンダ海峡周辺を焦土化させた事故が発生しました。
現在、津波による、インドネシアの死亡者数は429人と集計され、負傷者は1458人、行方不明者は154人であることが分かりました。