以前大阪府の職員が勤務中に9年間で2318回も職場を抜け出してたばこを吸っていたとして、訓戒処分を受けたことで話題になりましたが、勤務中の喫煙はサボリではないのか?というのが再び議論になっています。ソフトバンクをはじめとして、企業がはじめた就業時間内禁煙の取り組みとは?
2019年7月1日から、政府は受動喫煙対策の一環として学校や病院、行政機関などの敷地内を原則禁煙(屋外喫煙所設置は可能)とする「改正健康増進法」が施行されました。それに合わせてソフトバンクなどが「就業時間内禁煙」を決めるなど、各企業の喫煙対策も進んでいます。就業時間内の喫煙は“働き方改革”を阻害するのでしょうか?
そんな中、喫煙に関して新たな試みを導入した企業が、ウェブ広告やアプリ開発事業を手掛けるアキナジスタ株式会社です。この会社が導入したのが「たばこを吸わない4休暇」というもので、たばこを吸わない申請をすれば、喫煙者よりも最長で年4日有給を多く取得できるというシステム。これにより「喫煙=サボり」という不公平感が是正されたといいます。
代表取締役・小林祐介氏は、この制度について、「1日4回、それぞれ5分間ほど」喫煙しているとすると、年間でなんと80時間、出勤日数では12日分ほどに相当するそうです。このシステムの導入により、非喫煙者の不平不満も減り、また喫煙者の喫煙後の仕事効率も上昇したとして、会社全体として「効率は上がっている」話しています。
しかし一方で、喫煙者サイドの意見としては、自ら4年前に禁煙に踏み切った実体験を持つ映画監督の井筒和幸氏は「嗜好品として、(喫煙は)認められるべき」と話しましたが、大の嫌煙家を自称するテレビ朝日の三谷紬アナウンサーは「喫煙所までの行き来は時間の無駄」と喫煙行為をばっさりと一刀両断しました。
また、これらの時代の流れを受け、喫煙ができる数少ないカフェとして知られていた国内の老舗カフェ「ルノアール」が、ついに紙巻きたばこの禁止を発表するなど、愛煙家に対する社会の風当たりは増す一方です。一方で、東京大手町に「スモーカーズカフェ・ブリケ(大手町プレイス店)」は愛煙家のためのカフェが昨年オープンするなど、禁煙・喫煙どちらのサイドからしても今は転換期なのかもしれませんね。
改正健康増進法によって、社会はどう変わっていくのでしょうか・・・愛煙家と嫌煙家が共存できる社会の模索はまだまだ続きそうです。
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