集英社が発行する少女マンガ誌「りぼん」で、1995年からギャグ漫画「HIGH SCORE」を連載している漫画家・津山ちなみさんは、同誌のタ○コ描写規制により、作品に登場する34歳のキャラクターに煙管(キセル)を持たせることが出来なくなったと明らかにしました。これについて作者の津山さんがツイートをし、波紋を呼んでいます。
漫画の道具
津山さんのツイートによると、3年ほど前に煙管から煙が出ている演出が禁止となったとのことです。津川さん自身はタ○コを苦手としながらも、マンガの描写の小道具として重宝していたといいます。
「りぼん」は少女マンガ誌であるため、「喫煙表現NGは全然あり」と理解を示した津川さん。過去のコミックスについては、修正が入ったり絶版になったり規制は入っていないとのことです。そして、「私は『りぼんっ子が最初に触れる変な漫画』を描く人であり続けたいので、りぼんのルール内で頑張るだけです」と決意を表明し、さらに「りぼん」誌面ではなくコミックスでの煙管の再登板の可能性に言及しました。
津山さんの上記のツイートは投稿するやいなや、瞬く間に拡散され1万を超えるリツイートを獲得しました。「大人のキャラクターへの規制はやりすぎ」「こういう対応って楽な選択をしているとしか思えない」「表現の自由を守るべき立場であるはずの出版社の姿勢に驚き」など、読者から集英社に対し不満の声が広がっています。
風当たりの強さ
近年、タ○コの描写への風当たりは非常に厳しくなっています。現在放送中のNHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」では、1910年~1960年代が舞台であり、時代考証の結果として、喫煙の場面が多く描かれています。しかしこれに対し、公益社団法人 受動喫煙撲滅機構はNHKに抗議を申し立て、「『いだてん』において、受動喫煙のシーンは、今後絶対に出さないでください」「『いだてん』で、受動喫煙場面が放映されたことについて、番組テロップなどで謝罪をしてください」と要求しました。
過去に遡ると、宮崎駿監督の作品にもクレームがありました。2013年公開の長編アニメ映画「風立ちぬ」で、主人公が肺結核の妻の前でタ○コを吸うなど喫煙シーンが何回も登場するとして、NPO法人 日本禁煙学会から要望書が提出されていました。さらに、2016年には、世界保健機関(WHO)は喫煙シーンのある映画などについて、若者が喫煙を始める危険性があるとして、年齢制限を設けるよう各国に勧告を行いました。「ONE PIECE」のアニメがアメリカで放送される際には、咥えタ○コがトレードマークのキャラクター、サンジの持っているものがチュッパチャップスに変更されているのです。
バランス
確かに喫煙シーンによる子どもたちへの影響の大きさを出版社、テレビ局、映画会社は重視しなければならないと思います。しかし、タ○コは禁止にして、ケ○カやイジメは容認というあべこべなことになってはいないでしょうか。表現内容をどこまでOKとして、どこからをNGとするか。それらの線引き、バランス調整の見直しが改めて求められているような気がします。
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