スリランカ人の女性が名古屋出入国在留管理局の施設で死亡した問題で、遺族側の請求により名古屋入管が開示した関連の行政文書1万5113枚のほとんどが黒塗り状態だったと明らかになり、波紋を呼んでいます。
遺族が会見
遺族側は17日に会見を開き、「入管はすべてブラックボックスに入れ、何も情報を出さない。まったく反省していない」と批判しました。
遺族側によると、開示されたのはウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)に関する看守勤務日誌や健康状態を示す診療結果報告書、被収容者面会簿など。4月9日に代理人の弁護士が名古屋入管に文書の引き渡しを求めたものの拒否され、5月12日付で開示請求したところ、約3ヶ月経過した8月2日に段ボール3箱分が届いたといいます。
こちらが実際に送られてきた文書の写真です。
ほぼ黒塗りの理由
名古屋入管は不開示とした部分の理由について、7月15日付の通知書で、「個人情報の開示により個人の権利が害される」「保安・警備体制の記録公開で公共の安全と秩序維持に支障を及ぼす」「行政機関の意思決定の中立性が損なわれる」などの理由をあげています。
批判の声
ウィシュマさんの妹ポールニマさん(27歳)は17日の会見で、「文書がこんなに黒塗りされたら、報告書の内容も信用できない。入管は姉が殺されたことを隠したいのではないか」と不信感をあらわにしました。
ツイッターでも、
「黒塗り。。。開示の意味ある???」
「これはひどい。こんなことが許されるなら、開示請求という制度自体がまったく意味をなさない。情報を得るための開示請求なんだから」
「そんなに隠さないとやばいことがたくさんあるんだろう」
「こんな黒塗り開示をしたらどういう印象になるかなんて少し考えればわかりそうなものなのに」
などの声があがっています。
さらにこの開示請求には、15万6760円の「開示実施手数料」がかかったといいます。高い金額を払ったにも関わらずほぼ真っ黒の情報のない紙切れが送られてきたのですから、憤りを感じて当然でしょう。