人間世界で開かれているスポーツの祭典をよそに、ひとり黙々とポリタンクを追いかけ走って投げて壁にぶつけてキャッチして…熱き闘いを繰り広げるホッキョクグマが日本最東端の動物園にいます。
真夏でも涼しい北海道の釧路市動物園では、ホッキョクグマが楕円形のおもちゃを高く上がったところでキャッチしたり、重そうなポリタンクを軽々と持ち上げて投げ飛ばしたり、両手で持ち上げて歩いたりとまるで人間の子供が遊んでいるようです。
そのホッキョクグマは8歳になるメスのミルクです。動物園ファンや通りすがりの人たちによる動画や写真がSNSに投稿され、遊びがとにかくすごいと大人気になりました。
担当飼育員の大場さんは「壁に物を投げつけ、跳ね返って来たのを受けとめる、というのを繰り返すことには驚きです。浮き球やポリタンク、ガス管など、形や重さが違ういろいろなものできるところがすごい! 特に金メダル級なのは、物を持って、二足歩行で何歩も歩くこと」とミルクを大絶賛しました。
ミルクが楽しく遊んでいるように見えるさまざまな行動…実は、野生で生きていく上での行動とつながるそうです。
大場さんは「“心臓マッサージ”みたいな、ポリタンクをパコパコと押す動きは、まさに氷を割る時のもの。カゴなどをすっぽりとかぶるのは、獲物を狙って氷の中を覗き見る行動だと思います」と話しました。
凄く活発なミルクですが、無観客だと遊びのスイッチが入らず、声援を受けると活発になるのだそうです。
ミルクは秋田県にある“男鹿水族館GAO”で生まれ、1歳過ぎに母グマの実家である釧路へ来ました。
春先の繁殖シーズンには12歳になるオスのキロルと同居を開始し、年々良い雰囲気になっていますが、「ミルクがあまりにも活発なのでキロルの方がやや押され気味なところが心配」と大場さんが心境を語りました。