恋人たちのイベントであるクリスマスもすっかり日本で定着しました。この日にはクリスマスケーキやご馳走を囲んで楽しむのが一般的ですが、実はこのクリスマスケーキの原型をつくったのが不二家なのです。日本初の不二家のクリスマスケーキとはどのようなものだったのでしょうか。
クリスマスケーキの原型と当時の人々
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そもそもクリスマスというのは日本の文化ではありません。そのため今のように大イベントにして人々が楽しむようなものではなかったのです。昭和40年代頃に日本では冷蔵庫の普及が始まり、家庭でも冷たい物を食べられるようになりました。その頃からケーキというものがより身近なものになり、今では一般的な生クリームのショートケーキがクリスマスケーキの主流となりました。このショートケーキを日本に持ち帰ったのが不二家の創業者で、クリスマスケーキとしてショートケーキを不二家で販売し始めたのが日本におけるクリスマスケーキの原型とされています。
各国と日本のクリスマスケーキの違い
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今では不二家だけではなく様々なお店やメーカーがクリスマスケーキを販売しています。しかしクリスマスケーキというものに種類の定めはなく、国によってその伝統は様々です。例えばお菓子の本場であるフランスでは切り株を模した「ブッシュ・ド・ノエル」がクリスマスでは定番ですし、ドイツではクリスマス前から少しずつカットしてその日が来るのを待ちわびる「シュトーレン」があり、イタリアではケーキではなくドライフルーツを練り込んだ「パネトーネ」が定番です。国によって伝統が違うのですが、日本の定番が生クリームのショートケーキになったのはやはり不二家の影響が大きいでしょう。
他国とは違う日本のクリスマスケーキの特徴
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クリスマスというのはキリストの生誕を祝う日ですから、お祝いの意味があればどのような形のケーキでも構わないとされています。だからこそ国によってクリスマスケーキの形が違うのですが、なぜ日本ではショートケーキが主流となったのでしょうか。それは不二家の創業者である藤井林右衛門がアメリカに修行に行った際に出会ったストロベリーショートケイクが由来でした。アメリカではスコーンに生クリームといちごを挟んだものだったのですが、これを日本人好みのやわらかいスポンジに変えたのです。それが不二家のクリスマスケーキの原型となりました。更には華やかな飾りも施し、非常にメルヘンチックな外見から人々の注目を集めるようになったのです。
現在のクリスマスケーキの傾向とは
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クリスマスといえばケーキというように、不二家ではもちろんのこと今では様々なクリスマスケーキが販売されています。直近では製造が間に合わないのでハロウィンの時期から注文が開始されるほど需要が高い物になっているのです。現在のクリスマスケーキの傾向は1ホールのケーキというよりは、様々な味が組み合わさってできたものが増えてきている傾向にあります。一緒に食べる人の好みに合わせやすいという良さがあるからです。現在の不二家では伝統的なショートケーキはもちろんのこと、チョコレートやタルト、更にはホールでは食べきれないという人のためにカットケーキも用意されています。
クリスマスを彩るのはやっぱりクリスマスケーキ
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クリスマスの楽しみ方はいろいろありますが、やはり子どもから大人まで楽しみにするのがクリスマスケーキです。自分好みのお店や味で選べば良いのですが、時には原点に戻って不二家のクリスマスケーキを味わってみるというのもおすすめです。伝統をつくった不二家だからこそ感じられる格別な味があります。流行り廃りがあるからこそ原点を知るというのは非常に有意義なものになるのです。