イギリスでは法律に則り視覚障害者は盲導犬を公共の場へ連れていくことを許可されているのだが、とあるショッピングセンターの警備員が、盲導犬を連れた視覚障害者の男性に対してショッピングモールからの退去を命じるという、なんとも憤りを感じるニュースが報道されました。では、その真相についてさらに詳細に見ていきましょう。
ケント州ダートフォードにあるショッピングモール「Bluewater(ブルーウォーター)」にて、理不尽な出来事が起こりました。
ショッピングモール内で休日に家族と一緒に買い物をしていたサウスエンド在住のポーリーン・レッチフォードさん(当時61歳)は、盲導犬を連れた男性と彼の妻らしき女性が警備員に何か言われている光景を目撃したといいます。ボーリーンさんは、その様子を動画に収めました。その動画がこちらです↓
ポーリーンさんは英メディアに対して、「30代ぐらいの男性の奥さんが店に入ろうとしていたんですが、男性は盲導犬を連れていたので店先で待っていました。私たちは犬がとても可愛かったので目を留めたんですが、男性は決して犬を店の中へ連れて入ってはいませんでした。すると警備員が彼と店から出てきた女性に近付いて、『モールから出てください。犬は立ち入り禁止です』と言ったんです。」と当時の状況を説明しました。
またその女性は、視覚障害を抱えていて犬を連れて歩くことを許可されていることを丁寧に説明したのにもかかわらず、警備員は、男性にモールから出て行くよう繰り返し命じていたといいます。
ポーリーンさんは動画を撮影しながら憤りを感じたそうで、警備員の行為を悪意ある行為だったと指摘しました。
また、当時ポーリーンさんだけでなく、このやり取りを聞いて他の客も男性の周りに集まってきたそうですが、警備員はいかにも面倒臭そうな態度を取っただけで、自らの過ちを認めることをしなかったといいます。その後、盲導犬を連れた男性はサポートしてくれた見知らぬ客らのおかげで買い物を続けることができたようですが、これにはネット上でも大きな批判を浴びており、Facebook上でも動画はすぐさま拡散されました。
「全く持って腹立たしい行為だ。プロの警備員の対応とは思えない。恥を知るべきだ。盲導犬はどこへ連れて行っても構わないんだ!」
「この警備員と雇用主は、英国の平等法によって障害者が守られていることを学ぶべきね。」
なお、英国平等法および英盲導犬協会には「障害を持つ人々は他の人と同様に商店や銀行、ホテルや図書館、パブ、タクシー、レストランにより提供されるサービスに対して、同じ権利を持つことを規定する」というガイドラインが敷かれているのだが、モールから盲導犬の退去を命じたこの警備員は、明らかにそれを知らなかったようです。
動画がFacebook上で拡散されたことから、視聴者からも非難を浴びることとなりましたが、日本だけでなく世の中どこの世界でもこういった憤りを感じてしまうトラブルは多発しているようです。
ちなみにこれを受けたBluewater側は、「この件については、ミスによりお客様が盲導犬と退去を求められたと聞いております。当方は直接このお客様に連絡し、過ちについて謝罪いたしました。介助犬は、当モールでは常に歓迎しております。当方は早急に警備チームの再訓練にあたり、今後似たような状況が起こらないよう努めてまいります」と声明文を発表しています。
入店を拒否された盲導犬の男性は本当に気の毒でしたが、多くの人に見守られながら結果的に入店できて、よかったですね。もうこのような騒動がないことを祈ります。
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