「人間の頭部移植に成功した」
人間の頭部の移植手術を進めていると公言していた、イタリアの脳神経外科医であるセルジオ・カナベーロ博士だが、ついにその前段階である、人間の遺体を使っての頭部移植手術に成功したと公式に発表したと、海外メディア各紙が伝えた。
カナベーロ医師はウィーンで記者会見を開き、中国で協力者である任曉平医師の手術チームが遺体の頭部を別の遺体に移植することに成功したと発表した。
次のステップは2人の脳死患者のドナー同士による頭部移植手術だという。
手術はどうやって行われた?
2017年5月にカナベーロ医師と任医師が発表した実験は、マウスの頭部を少し首が太いマウスに移植するという不気味なものだった。ここでは手術を受けた14組のマウスが平均36時間生存した。そしてついに人体を使っての実験が行われたのである。
「今日、私たちは医療だけでなく、人の命に関する革命の瞬間を目の当たりにしています」とカナベーロ医師。
同医師によると、手術は18時間と予想の半分の時間で完了したという。
手術では、特別なポンプとシリコンの管を用いて、脳を体に移植する間十分な供給し続けたという。また頸動脈、頸静脈、椎骨動脈をきちんと保存したとも報告されている。
HEAVEN
カナベーロ医師が考案した頭部移植法は「HEAVEN(HEad Anastomosis VENture)」と命名されている。
その対象となるのは、例えば神経疾患や交通事故などで体が不自由になった人と、脳死患者の臓器ドナーである。
両者の頭部をすみやかに切断し、健康な頭部を専用に開発されたクレーンでドナーの体に移動する。次いで気管、食道、頸動脈、頸静脈を縫い合わせ、さらに脊髄を結合。あとはレシピエントが目覚め、体を動かし会話ができる(これが最重要な点)ようになるまで回復するのを待つ。
これまで一度切り離された脊髄を修復することは、どれだけ綺麗に切断したとしても不可能とされてきた。
しかしカナベーロ医師はのりのような特殊な新素材を用いて、切断された脊椎間の隙間を埋めるように軸索と神経細胞を成長させる方法を考案したと主張している。
「私たちは世界の医学者の怠慢によって長く苦しんできた人々のために働いてきました。今、答えにたどり着きました。それは間もなくです」
最終的な目標は?
最終的な目標は脳移植による寿命の延長!
こう語るカナベーロ医師であるが、彼の最終的なゴールは脳移植による寿命の延長だ。
つまり年をとったら、脳を若い体に移植して延命を図ろうというのだ(体の提供元については明らかではない)。
批判も・・・
ただしカナベーロ医師は、最大の難関である切断した脊髄を再結合して運動機能を回復させることができる具体的な証拠を提示していない。
このことが批判の対象となっている。切断した頭部と体をつなぎ合わせて機能を回復させることは、現在の医学の常識では不可能なことだ。きちんと機能が回復しないのであれば、今回の実験も単なる解剖学的な練習に過ぎないことになる。
英カーディフ大学のディーン・バーネット氏は、ラットの実験は頭部移植ではなく、「第二の頭など必要のない生き物に頭を継ぎ合わせた無意味なもの」と評する。仮に技術的に可能であることが証明されたとしても、深い哲学的な疑問が残るだろうとも話す。
「脳があなたを構成する源だと考えるなら、あなたはあなたのままでいれます。でも純粋な体重の割合で言えば、あなたというよりはドナーの方が多いわけです」とバーネット氏は問いかける。「あなたの体で他人のDNAが動いているとしたら、それは何者なんでしょう?」と。
まとめ
頭の入れ替えなんて、自分が自分で無くなるような気もします。
しかし、何らかの病気で必要な方がいれば嬉しいニュースですね。