とにかく巨人が負けてくれればプロ野球に楽しさを感じられる、アンチ巨人と呼ばれる人たちを見かけなくなりました。10年程前までは確実にそのような人がいた記憶がありますが、地上波でのプロ野球の視聴率が低迷を始めた頃から少しずつなりをひそめてきた感があります。好きなチームを持ち、そのチームが勝てば嬉しい、負ければ悔しいというのが本来のプロ野球の楽しみ方ではあるものの、アンチファンという選択肢が実質的に消えてしまったのは寂しいものですね。
巨人が球界の絶対的盟主ではなくなった
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アンチファンが減少したこの10年程の間にプロ野球の構図が少しずつ変化しました。
まず、2005年にソフトバンクが参入するまでは1チームも存在しなかったIT企業のチームが今では3つも存在することです。
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かつてのプロ野球は巨人を含めた新聞社と鉄道会社が殆どのチームを持っていました。これらはIT企業とは異なり歴史があります。それ故にIT企業とは異なる商慣習や企業理念に基づいて運営されています。これは球団経営にも関係することで、新聞社や鉄道会社が球団単独での収益を目指すのに対し、IT企業での位置づけは広告塔、つまり球団自体は赤字でも企業名やサービスを広めるきっかけになれば良いとしているのです。(結果的にIT3球団は黒字ですが)
ビジネスシーンとしてのプロ野球界が変化し、古い考え方となった巨人が球界でのリーダー役を維持できなくなってきたのです。
時期を同じくして豊富な資金力をバックに持つソフトバンクがチームとしての力を付けました。
かつては巨人と西武が球界の2大盟主と言われたように、ソフトバンクが実質的に12球団で最も力を持つ球団へと成長したのです。
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そうなると、圧倒的な力を持たない巨人のアンチファンになることに意味はあるでしょうか?強くないチームであれば、優勝しないことが当たり前ですし、勝てば嬉しいだけです。チームの強さだけでなく、発言力も含め憎らしいほど強い、という感覚が無くなったことがアンチファン減少の要因でしょう。
皆が同じものを見るという世の中が変化したこと
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昔は、皆が同じテレビを見て、同じ音楽を聴いて、野球は巨人(関西なら阪神)という時代でした。
しかし現在は人の好みが多様化し、皆が見ているエンターテイメントが存在しなくなりました。地元であるから、強いからという理由ではなく、自分だけのお気に入りを見つけて応援するというスタンスでプロ野球を見る人が増えたのです。
最近は広島がカープ女子という名の女性ファンを多く獲得していますが、彼女らが応援するきっかけとなったのは「赤いから」「なんとなく」などこれまでの野球ファンが野球を見るきっかけになるのとはかけ離れた理由からです。
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人気が出てからは話題だからと言う理由が多くなりました。彼女らはスライダーの曲がり方や二遊間のシフトなんかには全く興味が無いのです。
また、近年はアマチュア野球のスター選手の多くがパリーグに入団しています。怪物だのメジャー移籍だのとマスコミを騒がせる選手は殆どがパリーグ出身になっています。巨人はどこに行ってしまったのでしょうか?
王、長嶋の時代に始まり、原、松井など多くのスター選手が巨人に在籍していました。
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実力は勿論、時代が彼らにスター性を与えました。しかし球団自体は往時と変わっておらず、時代の流れが結果としてスター性を失わせることになったのです。こうして応援する球団が多様化し、巨人のカラーが時代と離れていく中でアンチファンが姿を消しました。
まとめ
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プロ野球の人気は低下しているわけではないですが、地上波での中継は激減しています。これは有料放送で完全中継を見る人が増えたこともありますが、プロ野球の楽しみ方が以前と変わったことを意味します。
政治や経済のことのように、当たり前の関心事としてプロ野球を見ることから、能動的な趣味として野球を見るようになったのです。
社会の変化、他球団の興隆など様々な理由が相まってアンチ巨人がいなくなりました。
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そうは言っても2012年から2014年までは3連覇を果たしており、強いことには変わりがないのですが…。