韓流ドラマ「天国の階段」はチェジウの代表作として知られ、最初の放送から10年以上経った今でも伝説的悲恋ドラマとして人気が衰えず、その後もたびたび再放送もされています。天国の階段によってチェジウは「涙の女王」の異名を取り、日本での知名度をさらに押し上げることになりました。継子いじめや交通事故、記憶喪失など韓流ドラマのエッセンスが詰め込まれ、個性が際立つ共演者らの熱演やダイナミックな展開も話題となり、多くの印象的なシーンが今も語り草となっているドラマです。
出演者の誰もがはまり役だった天国の階段
写真:ameblo.jp
天国の階段の出演者はその後それぞれ別のドラマに出ていても天国の階段で演じた役名で呼ばれるようになるほど、誰もがはまり役と言える存在感で物語を盛り上げました。チェジウが演じたヒロイン・チョンソをいじめ抜く継母と義理の妹ユリのいかにも悪役といった憎らしい雰囲気あってこそ、チョンソを襲う継母らの罠やいやがらせの非道な印象が高まり、ドラマをいっそう盛り上げました。チョンソと相思相愛の財閥御曹司ソンジュ役の俳優は当時新進気鋭のイケメン俳優として大人気を博しており、二人の固い絆を知りながらもチョンソに熱い恋心を寄せる義理の兄テファの濃い演技にも注目が集まりました。
写真:TABILISTA[タビリスタ]
テファはチョンソをいじめる継母の実子でありながら娘だけを溺愛する母親から疎まれて育ち、チョンソによって初めて家族愛を知ったという設定の人物です。それを最も象徴的にあらわしたのが「誕生日のわかめスープ」で、韓国ではバースデーケーキよりもわかめスープが誕生日に欠かせないものということを、日本の視聴者は天国の階段によって知ることとなりました。義妹チョンソによって家族が作ってくれる誕生日のわかめスープを初めて体験することができたテファは、その後ドラマ内でことあるごとにわかめスープの思い出を繰り返し熱く語ることから、テファと言えばわかめスープとまで言われるようになりました。
ヒロインを襲う怒涛の不幸とチェジウの涙
写真:シネマトゥデイ
天国の階段はヒロイン・チョンソを次々に襲う怒涛の不幸もダイナミックで、流血ぶりがリアルな大交通事故や記憶喪失、継母や義妹の執拗ないじめ、不治の病や失明など韓流ドラマの定番とも言える過酷な運命を一身に背負わされていた印象がありました。盛り込み過ぎの不幸設定を特に突っ込まれることなく、視聴者のヒロインへの同情心が自然に集まるようにしていたのがチェジウの涙の女王ぶりで、彼女の涙があふれるたびに見る人の感情移入の度合いがいっそう高まることになりました。天国の階段は、チョンソと相思相愛のソンジュが繰り広げる、幾多の障害に阻まれながらもお互いが育む強い愛の絆が主軸ではあるものの、義兄テファのチョンソに捧げる深い愛情のほうが印象に残る面があります。
写真:シネマトゥデイ
テファ役の俳優の熱く濃い演技の影響もありますが、終盤テファがチョンソに捧げる究極の愛の表現こそが、天国の階段というドラマを長く人々の心に印象付けて忘れがたいドラマにしていると言っても過言ではなく、本当の愛情とは何なのか、ラストシーンを見終えたあとの余韻の中で、しみじみと考えをめぐらしたくなるような不思議な深みをも持つドラマとなっています。涙の女王チェジウが泣くシーンやテファのわかめスープ連呼など見どころが満載のドラマだけに、韓流ファンならずとも一度は楽しみたい作品です。
まとめ
写真:Gooブログ
人によってはツッコミどころ満載と言われる天国の階段ですが、最後まで見終えるとツッコミどころも含めて愛しくなるドラマに思えてきます。ソンジュが潮が満ちる中ピアノを弾いて一人反省会をする名シーンで語られるセリフの意味も、ドラマ全編を振り返ると非常に深い意味合いを持っていることがわかります。ドラマファンであれば、一見ベタとも思える全体の構成やセリフ回しなどが非常に緻密に構成されていることもよくわかり、感心すること請け合いのドラマでもあります。