日本でも有数の暴力団である山口組が2015年に分裂しました。かつての情勢であれば、報復が報復を呼ぶ形で多くの血が流れていてもおかしくありませんでしたが、近頃は警察の取り締まりが強化されたり、法律が整備された影響もあって、お互いに簡単には手が出せない膠着状態が継続しています。
それでも水面下では様々な地殻変動が進行しているのは間違いありません。山口組の暴力団界隈における現在の勢力図について探っていきます。
山口組の勢力図について
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暴力団の山口組は2015年8月末に神戸山口組へ、そしてその神戸山口組からさらに任侠山口組へと分裂しました。これら3団体は対立関係が長く続いており、小さな小競り合いは頻繁に発生しています。警察による法整備により大規模な衝突は起きていませんが、一触即発の事態が続いていることに変わりありません。
山口組系の組員によると、分裂後は神戸山口組と衝突しないよう、酒を飲みに店へ出向くことがほとんどなくなったそうです。また、神戸山口組傘下の組員も同じように、トラブルが起きるリスクのある夜間は外出しなくなったとのことです。就寝時には携帯電話を枕元に置かなければ寝られないほど、緊張状態が続いていると訴えていました。
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山口組は2005年に6代目の組長が就任し、これをきっかけに揉め事が始まります。2015年の8月にはとうとう山口組が分裂、離脱した一派が神戸山口組を結成することなります。
翌年の2016年5月には、両組の幹部同士が和解交渉を行ったものの、決裂してしまいます。同年8月には分裂からおよそ1年で殺人4件を含んだ86もの事件が発生し、逮捕人数は976人を数えました。
そして2017年4月に神戸山口組も分裂し、新たに任侠山口組が結成されます。離脱派は神戸山口組内における会費などの対応に不満があり、分裂する事態に至ったようです。これが現在の組内の勢力図となります。
山口組から分裂した組織の現状
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山口組から分裂した離脱派のパワーが温存されている理由は、全国各地にある友好団体に対して根回しが成功していることがあげられます。特に関西から西側は神戸山口組に親近感を持つ組が多いことから、支持に回っていると見られています。
山口組は分裂した後、東日本にある暴力団との友好関係を深めていく方針に展開しています。分裂する前は関東にある組織は山口組に対して対抗意識を持っていたと言われていますが、現在はその感情はほとんどないそうです。一部の暴力団組織が仲介役となり、山口組と関東の組織が信頼関係を結んだとされています。
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現場レベルの話では、山口組と分裂した組織も共存共栄の形を取っています。これは暗黙の了解ともされ、街などで顔を合わせてもお互いにアイコンタクトをとり、トラブルを起こさないように注意しているとのことです。山口組も任侠山口組も、代紋は一つです。となれば、本来であればいがみ合うのではなく、一つのカテゴリーとして活動していくのが正しい姿だとお互いが感じているのかもしれません。
テロ等準備罪が施行されたため、暴力団における抗争は起きにくい時代に突入しました。今後も山口組系の勢力図に変わりはないとされていますが、大きなトラブルや事件が起きる可能性はそれほど高くないのではないでしょうか。
まとめ
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山口組は神戸山口組と任侠山口組に分裂し、現在の勢力図は3つの組織となります。法整備により抗争は起きにくくなったものの、小さないざこざは続いており、膠着状態となっています。
それでも本来は一つの代紋として活動しており、お互いにいつまでもいがみ合いをしているべきではないという認識は同じのようです。街で鉢合わせをしても、お互いに目で合図を送りトラブルが起きないよう配慮しているという組員の証言からもわかるように、今後も大きな問題が起きるリスクは最小限に留められていくと予想されます。