フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演し自宅に遺書を残して死亡した女子プロレス選手、木村花(22)さんは生前、ツイッターなどでの誹謗(ひぼう)中傷に悩んでいました。ネット上での攻撃性の高い匿名の書き込みには、これまで多くの人が被害に遭っていたが手続きの煩雑さもあり泣き寝入りすることが多かったです。しかし、木村花さんの死をきっかけに同じような被害者も声を上げはじめ、国もSNS中傷への対策に乗り出す方針です。
痩せ体形のモデルとは一線を画す「プラスサイズモデル」や女優として米ハリウッドで活動する藤井美穂(26)さんに向けられたネット上の中傷。本名でツイッターを始めた平成26年12月ごろから中傷は始まりました。
藤井美穂さんはSNSに顔や体の写真などを掲載しています。しかし、ツイッターには、毎日のように外見や体形を中傷するコメントが相次ぎ、多いときには一日に30件に上ることもありました。
「すべてのツイートにネガティブなコメントをしてくる」というほど執拗(しつよう)な人もいたといいます。藤井美穂さんは「鬱陶しい」とは感じつつも、さほど気にせず、無視をしたり、特定のユーザーの書き込みを非表示にする「ミュート」機能を使ったりしてかわしてきました。
ときには言い返すこともあり、「その方が注目も集まり、私のメッセージが広がる」と考えていましたが、木村花さんの件をきっかけに考えが変わったそうです。
「(中傷した人が)罪を償わなければ、やる人が減らない。社会にとってもよくない。」
実際に法的処置を取ろうと思っています。 https://t.co/XUFGueR9Bt
— 藤井美穂?俳優/プラスサイズモデル Miho Fuji (@mihoimiofficial) May 24, 2020
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5月24日、自身のツイッターにそう書き込みました。すると、これまで藤井美穂さんを攻撃していた複数の人から、謝罪のメッセージが届いたといいます。書き込みやツイッターのアカウントを消す人もいました。「かわいそう」「謝っているのに」という声もありましたが、厳しく対処する姿勢を貫きます。
「ネット上にある私のほんの一面をとらえて中傷をしている。中傷をかわすのは難しい。これまで中傷されてきた私だって、かわいそうじゃないですか。自分がしたことはちゃんと償わなければならない。」
ネット上の中傷問題に詳しい清水陽平弁護士によると、中傷書き込みを行う側の動機は、「『見ていて不快だった』や『ほかの人もやっていた』など、深い理由はない。」とします。
書き込みやアカウントを消した場合でも、発信者を開示し、法的に責任を追及することは可能で、「証明のために、キャプチャーやPDFで保存するべき」と指摘します。また、藤井美穂さんのケースのように書き込んだ側が謝罪をしたとしても「訴えを取り下げるかは被害を受けた人の気持ち次第」といい、「責任を簡単に逃れられるわけではない」としています。
ネット上での匿名の攻撃的な書き込みに対し、投稿者の開示請求をすることはできますが、時間や費用がかかるなど、被害者が責任を追及するのは簡単ではないのが現状です。現行法では、抑止効果や被害者救済が十分ではなく、政府は悪意のある投稿を抑止する制度改正を検討しています。
総務省の「違法・有害情報相談センター」には昨年度、5000件を超える相談が寄せられ、平成22年度に比べ、相談件数は約4倍に増加しています。こうした状況を受け、総務省は4月に有識者会議を設けて議論に着手。投稿者を特定する手続きを簡略化するほか、発信者の特定を容易にするために携帯電話番号を開示対象に含めることも検討しています。
ネット上では、藤井美穂さんの行動に賛同の声が上がっています。
・人の価値観なんてそれぞれなんだけどさ、自分が気に食わないからって攻撃するのはよくないよね。中傷を受けた相手から「法的措置取る!」って言われて慌てて謝るくらいなら、最初からしなきゃいいのに。
・その方が良い。ごめんなさいで終わらない問題もある!
・芸能人だから有名人だからといって、誹謗中傷されていい理由にはならない。何故なら彼ら(彼女ら)も人間なのだから。
・徹底的にやるべき。謝ってもそういう人はまた同じことをする。慰謝料を払ってもらい社会的制裁を受けるべき!藤井さん頑張れ。