イラストレーターのきくちゆうきさんがTwitterに100日間、毎日投稿し続けたワニを主人公にしたマンガ『100日後に死ぬワニ』。この『100日後に死ぬワニ』が思ってもみない展開を見せています…。
4コマ漫画で展開されるこの物語は、主人公のワニが自分の死期を知らず、何気ない日常を送っているワンシーンが描かれています。
最後に「死まであと何日」というカウントダウンが描かれており、最終回までにツイッターフォロワー数が190万人を突破するなど、ネット上などで大きな話題となりました!
99日までは全く死ぬ素振りすらなかったワニが、100日目の3月20日、ワニはひよこの身代わりとなり交通事故に。ラストシーンでは桜吹雪が描かれ、天国へと旅立つシーンとなりました。
この作品は原作者のきくちさんが、実際に友人を事故で亡くしたことがきっかけで、100日目の構成も初めから決めていたそうです。
しかし、その100日目のラストと同時に、ツイッター上では書籍発売、映画化決定、さらにグッズ販売までも発表されました。またLINEスタンプや人気バンド「いきものがかり」とコラボムービーまで公開されると大炎上へと発展したのです!!
コラボムービーのエンドロールをには、PRプランナーに電通社員の名前が。さらに公式ツイッターの管理会社を見てみると、取引先に電通の名前があったのです。
するとファンから“やはり最初から金儲けだったのか”という声が殺到!素朴で何気ないキャラのワニを応援していたのに、電通案件疑惑が浮上すると手のひらを返したようにファンたちは態度が豹変!!
この騒動についてきくちさんはツイッターで、《改めて言いますが、ワニの話しは自分1人で始めました。それから色んな人が付いてきてくれました。》と説明し、あくまで最初は一人で始めたことを強調し、もろもろの関与を否定。
しかしこのあと意外な人物がきくちさんのツイートにコメントしたのです。
その人物とは、2015年12月25日のクリスマスに過労自殺した電通社員の高橋まつりさんの母親・幸美さんです。
《きくちさんの作品拝見しました
ワニ君と娘の最期がシンクロしました
娘は正社員になり100日生きれませんでした
パワハラで悩む同僚を励ましてた娘が命を絶ち
電通の労働環境を変え、
娘は予期せず同僚を助けました
娘の24年の人生は満開の桜が春の嵐に遭い儚く散る花のようでした 》
幸美さんはもちろん“電通案件”と分かって書いているはず。このあとのツイートには《ホント、電通プロデュースで「正社員になって100日生きれなかった高橋まつり」作って欲しいもんです。私が死んでも風化しないようにグッズでも銅像でも建てて欲しいです》と投稿しています。
幸美さんはもちろん原作者のきくちさんには恨みはないはず、また作品に感銘を受けたことは間違いないと思われます。しかし、娘のことを思うと電通に皮肉を言いたくもなるでしょう。
当時、まつりさんの残業時間は認定されただけでも、月100時間超で過労死ラインを超えていました。これによって、‘17年1月に石井直社長は引責辞任をし、電通は労働基準法違反の罪で略式起訴。50万円の罰金刑となりました。
“電通案件”とみられるだけで世間からの厳しい目を向けられてしまった、『100日後に死ぬワニ』。ワニを静かに見送ってあげるのが良かったのかもしれませんね…。