韓国政府は21日、新型コロナウイルスについて、新たに52人の感染が確認され、韓国での感染者数が計156人になったと発表しました。韓国政府は同日、新たな感染者が集中している南東部の大邱(テグ)市と慶尚北道(キョンサンプクト)清道(チョンド)地域を感染症の「特別管理地域」に指定し、重点的な防疫措置を取る方針を決めました。
全国の17の広域自治体のうち、感染者が出ていない地域は釜山市と蔚山市、江原道、大田市、世宗市だけですが、これらの地域に感染が拡大するのは時間の問題とみられます。
大邱市では、新興宗教団体「新天地イエス教会」の教会に通っていた信者の間で感染が広がっています。大邱市の調査に、400人以上の信者が何らかの症状があると答えており、今後の検査でさらに感染者が増える可能性が高いようです。
光州市の感染者3人は大邱市にある新天地の教会で礼拝に参加した信者です。全羅北道では大邱市を旅行した男性ら2人、慶尚南道では大邱市の新天地教会を訪れた2人の感染が確認されています。
先月31日から今月2日にかけては新天地の教祖の兄の葬儀がデナム病院で営まれ、少なくない信者が参列したとされます。強い感染力を持つ「スーパースプレッダー」とみられている韓国で31人目の感染者も、この葬儀場を訪れた可能性が取り沙汰されています。
韓国で確認された感染者は18日の31人から3日間で5倍に増えました。軍兵士の間でも感染が判明しています。
ソウル中心部でも感染者が確認されており、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は21日、感染拡大を防ぐため、これまで大規模なデモが行われてきた市中心部の光化門(クァンファムン)広場での集会を当面、禁じる方針を明らかにしました。
また、韓国青瓦台(大統領府)は21日、韓国人と外国人を対象に実施している事前予約制の内部見学を22日から休止すると、青瓦台関係者が聯合ニュースに伝えました。22日以降の見学を予定していた人に対しては、メールや電話で中止を伝えるそうです。感染状況の推移を見極めた上で、見学再開の時期を決めるといいます。
青瓦台は新型インフルエンザが急速に広がっていた2009年9月にも、外国人を対象にした見学を休止し、6カ月後に再開しました。
韓国政府の中央対策本部の本部長を務める朴凌厚(パク・ヌンフ)保健福祉部長官は、感染症の危機警報レベルについて現行の「警戒」を維持する一方、最も高いレベルの「深刻」に準じて対応する方針を明らかにしました。