新型コロナウイルスの感染や肺炎が国内外で広がるなか、日本のTwitterトレンド上で「東京オリンピック中止」というワードがトップ10入りしています。
しかし、東京2020組織委員会に確認したところ「組織委員会として公表したという事実はありません」という回答でした。「東京オリンピック中止」は、情報サイトが憶測で付けた思われる見出しが拡散しているだけなので注意をして欲しいと喚起しています。
とある日本の情報サイトが1月29日に「東京オリンピック中止か、新型肺炎対策でIOCとWHOが協議」とする記事を掲載したことがきっかけです。
「国際オリンピック委員会(IOC)が世界保健機関(WHO)と連絡を取り合っている」とドイツのDPA通信の報道を引用し、『2002年11月に発生したSARSの終息が2003年7月までかかったこと、新型肺炎がSARSを上回る勢いで感染拡大していることを踏まえると、東京オリンピックに重大な影響が及ぶ可能性がある』と結論づける内容で、憶測をそのままタイトルに付けたと思われます。
この記事が他の情報サイトに配信されたことで、注目が集まったようです。
しかし、DPA通信の記事を実際に確認したところ、以下のような内容でした。
「中国での(新型)コロナウイルスの感染拡大は、国際オリンピック委員会(IOC)にも関係している。『世界保健機関(WHO)とその専門家と連絡を取り合っている』と、IOCは東京大会が始まる約半年前(の1月)にDPA通信の質問に答えた。『感染症対策は、安全な大会を提供する東京2020の重要な要素となる』とした。組織委員会は感染事例を監視し、必要な対策を講じるすべての関連組織と引き続き協力していく。」
すなわち、DPA通信は東京オリンピックが中止される可能性については一切報じていません。実際に報じられたのは、飽くまでIOCがWHOと連絡を取り合って新型コロナウイルスへの対策を検討しているところまでです。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)の広報担当者に東京オリンピック中止という情報の事実関係について確認したところ「組織委員会として公表したという事実はありません」という回答でした。そのうえで、新型コロナウイルスの感染対策について、「IOCや関係機関と緊密に連携し、必要に応じて対策についての検討を進めていきます」とコメントしました。