去る26日、西前頭17枚目の徳勝龍(33)が、結びの一番で大関貴景勝を寄り切りで破って14勝1敗とし、初優勝しました。
左四つで真正面から寄り切って
「本当に信じられない…」。支度部屋へ戻ってきてもまだあふれ出す涙をぬぐいながら、声を振り絞りました。20年ぶりの幕尻V。98年ぶりに相撲発祥の地へもたらした天皇賜杯。悠久の都・奈良県出身にふさわしい、歴史的な下克上をやってのけました。
土俵でほえて、そして涙があふれ出しました。史上初めて幕尻力士が千秋楽の結びに登場。しかも勝てば優勝のしびれるような大一番。今場所の神がかった突き落としが通じる相手ではないと、誰もが不利を予想する中で、逆転技ではない、左四つで真正面から寄り切ってみせたのです。
土俵下の優勝インタビューでは第一声が「自分なんかが優勝していいんでしょうか?」で 会場からは思わず笑い声も…
涙だけじゃない、関西人らしく笑いも意識しているのか?そんな素朴な人柄に、満員の国技館はほんわか暖かい空気に包まれました。国技館に足を運んだが「怖くて見られなかった」という 千恵夫人(33)から見た徳勝龍は「穏やかで優しくて全然怒らない」とのことです。
18日に急死した近大相撲部の恩師、伊東勝人監督へ手向けの優勝であったといえます。
「見ていてくれたんじゃなくて、一緒に土俵にいて闘ってくれてたような気がします。誘ってくれなかったら今の自分はなかった。プロにも行ってなかった」と泣きじゃくりながら感謝しました。
実はこっそりふろ場で練習?
「自分が一番下なんで怖いもんないと、思い切っていけました」とクールな一面をのぞかせつつも、「意識することなく…。うそです。メッチャ意識してました。バリバリ、インタビューの練習してました」と笑顔を見せる場面も…
千恵夫人によると「いびきをかいて熟睡してた」という 大一番の前夜に、実はこっそりふろ場で練習していたということです。
ロッチ中岡も同郷の徳勝龍の初Vを祝福
お笑いコンビ「ロッチ」の中岡創一(42)も 26日、自身の公式サイトで大相撲初場所で初優勝した同じ奈良出身の徳勝龍を祝福しました。奈良県出身力士の優勝は 98年ぶりということもあり「徳勝龍!!!! 奈良のスター誕生や!!」と称賛しました。中岡は愛知県生まれだが、小、中学校と 奈良県橿原市で育っているそうです。
相撲を ちょっとでも盛り上げられたら…
8月には34歳。一時代を築いた同学年の稀勢の里は引退、豪栄道も大関から陥落しました。だが、徳勝龍は1年ほど前から専属トレーナーのもとで肉体改造を始めました。「いけるとこまでいきたいですね。(3月はご当所の春場所だから)気合入った相撲でいく」と 体も気持ちも若いと思われます。
26日、徳勝龍の地元・奈良市では、優勝がかかる大一番を応援しようと市役所1階を開放し、パブリック・ビューイング(PV)が行われました。優勝が決まった瞬間、会場は総立ちになり父親の順次さんは あふれる涙をぬぐったそうです。(下記動画参照)
相撲発祥の地でありながら、相撲部がある中学は県内にわずか2校、高校は1校。「相撲を ちょっとでも盛り上げられたら」。まだまだ 徳勝龍には やらなければならない使命が 多くあるといえそうですね。