アフガニスタンで銃撃され殺害された非政府組織「ペシャワール会」の現地代表で医師の中村哲さんの葬儀が、
故郷の福岡市で11日に営まれ、多くの人が中村哲さんとの最後の別れを惜しみました。
午後1時から執り行われた葬儀には、ゆかりのあった人や支援者らで1300人を超えたと発表されています。
祭壇には、アフガニスタンで撮影された遺影が飾られ、棺には、アフガニスタンの国旗が掛けられました。
会場正面に安置された中村さんのひつぎにはアフガン国旗がかけられました。
その両脇には、中村さんとともに命を落としたアフガン人の運転手1人と警備担当の4人の遺影が置かれていました。
中村さんのアフガンでの姿を記録した映像も映し出され、
医療支援から井戸掘り、用水路建設へと広げていった活動をたどったといいます。
参列者が献花する間、会場には中村さんが好きだったモーツァルトが流されました。
ペシャワール会の村上優会長(70)は追悼の辞で、
1979年に中村さんに誘われてパキスタンへトレッキングに行った思い出に触れ、
「先生は、命の不平等について強い口調で語りました。山岳部に住む貧しい人たちが簡単な病気で亡くなっていくのを見て、手を差し伸べないことの不条理さを語っていました」
と、中村さんの活動の源流を語りました。
また、今後も会は事業継続に全力を挙げると誓い、
「(中村さんの)遺志ではなく、今も私たちの心の中で生きておられる意志」と言及。
続いて、バシール・モハバット駐日アフガン大使(63)ら6人が弔辞を述べました。
参列した人からは、
「言葉が見つかりません。素晴らしい方でした」と涙ながらに話す人も。
また、中村さんのいとこで、玉井行人さんは、
「体を張って、命を懸けて、証明していきましたよね、いろんなこと。それは、すごく大事にすべきことだと思います」と中村さんの死を悼みました。
喪主を務めた中村さんの長男、健さんは、
「父から学んだことをいつも心に残し、生きていきたいと思います」
と涙ながらにコメントしていました。
ペシャワール会は、来月25日に福岡市内でお別れ会を行う予定だそうです。
これらの報道にネット上からもたくさんのコメントが寄せられていました。
「人生で初めて、テレビを見ただけで亡くなった人を思って涙した。アフガニスタンの大地のビフォーアフターを見れば驚く。嘘だろうと思うくらいに緑が広がるさま、これを中村先生が成し遂げたのかと思うと泣かずにはいられなかった。良く似合う髭、暖かい眼差しを向けている遺影。その反面、丸腰でいることを凛と貫く鋼のようなご覚悟は、私も含め決して誰も真似は出来まい。ただただ敬意を表し哀悼します。」
「ドイツのように難民受け入れを派手に行うことが人道支援ではなく、人々が祖国にとどまれるような仕事が本当の人道支援。そういう意味では、世界に支援はこうあるべきということを命がけで実践した。素晴らしいと思います。」
「数年前、たまたまた、テレビで中村さんを拝見しました。現地の人の信頼も厚く、素晴らしい活動をしている方だなと思いました。しかし、憲法9条は、守ってくれなかったですね。9条が絵に書いた餅を中村さんの死をもって、再認識しなければならないね。日本人ならば。」
などのコメントが寄せられていました。