今年の6月に長男である熊沢英一郎さんを刺殺したとして、殺人罪に問われた元農林水産事務次官熊沢英昭被告(76)の裁判員裁判の初公判が12月11日に東京地裁で開かれ、多くの事実が明らかになりましたが、息子を殺害するしかなかった熊沢被告の心情に複雑な声が多く寄せられています。
元農水次官の長男刺殺事件の裁判が開かれる
息子である英一郎さんを刺殺した容疑で6月に逮捕された熊沢英昭被告。12月11日に行われた裁判員裁判の初公判にて容疑を全面認め、事件当時の熊沢被告の心境がだんだんと明らかになってきました。
長男の家庭内暴力から殺害に至ったという熊沢被告
冒頭陳述によると、英一郎さんは中学時代にいじめを受けたことがきっかけで母親に家庭内暴力を振るっていたといいます。大学進学後はひとり暮らしを始めたものの、事件が起こる1週間前に実家に戻っていたといいます。その後、英一郎さんは熊沢被告に激しい暴行を受けたそうで、ひたすら「殺すぞ」と言われ続けていたといいます。
妻に「死んだら息子と一緒に散骨してほしい」と手紙を書いていた熊沢被告
熊沢被告は事件前に、原稿用紙に妻に宛てた手紙を書いていたといいます。その手紙の内容としては「これしか他に方法はないと思います。死に場所を探します。見つかったら散骨してください。英一郎も散骨してください」と、自身の精神状態がギリギリであったということがうかがえます。
長男の妹も数年前に自殺していた
今回の事件が起こる前、英一郎さんの妹も数年前に自殺したといいます。その理由としては兄である英一郎さんが原因で縁談が破談となったためとのことです。このことで妻も昨年12月に自殺を試みたそうですが、一命は取り留めたといいます。熊沢被告も英一郎さんに苦しめられた張本人であるだけに、妻が涙声で減刑を訴えています。
長男には精神疾患があった?
弁護側によれば、英一郎さんは統合失調症やアスペルガー症候群を患っていたそうで「長年、必死で長男を支えていたが、暴行を受けて殺されると思い、とっさにやむを得ず刺してしまった」と主張しています。ちなみに、事件が起こった当初、同じ時期に起こった川崎市の殺傷事件がきっかけで犯行に及んだ、ということに関しては今回は言及しなかったようです。
ネット上では複雑な声が相次ぐ
今日公判開始
弁護側は「熊沢被告は、長年にわたって、発達障害の英一郎さんを必死に支えてきた。殺されると思い、やむを得ず刺してしまった」と主張した。
発達障害だけで転ぶとは限らない
親子関係とか、被害者が証言しようのない部分にも相当な要素があると思うhttps://t.co/XIFS2R7O9ZADVERTISEMENT — みらいのリスト@発達障害の便利情報 (@mirailist) December 11, 2019
熊沢被告…切ないなぁ
— ? (@nyan_1213) December 11, 2019
この殺人は肯定されてるよね
ADVERTISEMENT 引きこもりはすでに差別用語だよね
弱々しく、うつろな表情 長男殺害、初公判の元官僚トップの熊沢被告 https://t.co/A3ucLEdgmA @Sankei_newsから
— 王様の耳はロバの耳! (@ATwu9dJ2dgmKI9i) December 11, 2019
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今回の事件に対し、熊沢被告の家庭環境などに同情してしまう方も多く、複雑な声が相次いでいます。自身の息子につらい目に遭わされても周囲に頼れる人もいなかったのかと思うと、熊沢被告だけが責められる事件ではないのかもしれませんね。
まとめ
このように、今回の初公判を通じ、熊沢被告および妻が英一郎さんの家庭内暴力により苦しめられていたことが改めて分かりましたが、当然ながら犯罪はいけないことです。しかし、娘が自殺し、息子が暴力に走るという状況であった夫婦はどんな思いで日々を生きていたのか、考えるだけで胸が締め付けられます。