7月18日に起こった、アニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、青葉真司容疑者(41)=殺人などの容疑で逮捕状=が、皮下組織まで傷が達する重いやけどを全身の約90%に負っていたことがわかりました。
一命を取り留めたことで動機の解明が可能となり、京都府警は回復を待って逮捕、本格的な捜査に乗り出す予定です。
やけどの深さは大きく分けるとⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度の3段階に分類されます。
Ⅰ度は表皮まで、Ⅱ度は真皮まで、Ⅲ度は皮下組織まで傷害が及んだものです。Ⅰ度は日焼けと同じように皮膚に赤みが出る程度で、Ⅰ度熱傷では多くの場合炎症を抑える外用剤などでほとんど後遺症を残さず治ります。
Ⅱ度になると水ぶくれができるのが特徴で、ヒリヒリとした痛みを伴います。Ⅱ度熱傷は深さによって更に2つに分けられます。浅いⅡ度熱傷は浅達性Ⅱ度熱傷、深いⅡ度熱傷は深達性Ⅱ度熱傷と呼ばれます。
Ⅲ度になると皮膚に血の気がなくなり蠟のように白くなったり、炎で受傷した場合には炭のように黒くなったりします。Ⅲ度になると痛みを感じる神経まで損傷されるので逆に痛くないのが特徴です。Ⅲ度熱傷の場合には皮膚の障害が強く、治るのに時間がかかります。
青葉容疑者は、皮下組織にまで達する重度の火傷を負っていましたが、医師たちによる懸命の治療の結果、現在では命に別状がないくらいにまで回復したということです。
また今回は、世界初の“他人に貰わない”皮膚移植での治療となりました。
初期の治療には「人工真皮」と呼ばれる人工皮膚を使用。その後、自分の皮膚組織の一部から培養して皮膚を作り出す「培養表皮」を使って移植する手術を繰り返したそうです。提供皮膚を使わない条件下で広範囲のやけどを治療するケースはほとんどなく、結果的に初の事例となったとのことです。
ちなみに、容疑者が受けた高度医療に対する費用は、税金で賄うのか?と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
事件の容疑者の医療費支払いについては、逮捕前、逮捕後にかかわらず、本来は容疑者の自己負担だそうです。国民健康保険など資格を得ていれば、もちろん保険が適用。また、支払い能力がない容疑者の医療費支払いについては、逮捕前は自己負担ですが、逮捕後に限り、治療しないと死に至るような場合、重要事件の容疑者を死なせないために、事実上は国や県が支払うケースもあるということです。