2020年8月25日、津山市にある就職先近くのアパートで一人暮らししていた中山裕貴さん(当時19)が行方不明になりました。2020年3月に岡山県岡山市の工業高校を卒業。独り立ちしてわずか4カ月後の出来事です…。裕貴さんが会社を無断欠勤したことから失踪したことが判明しました。
1つ目の謎
母親の順子さんが裕貴さんの部屋に駆け付けると、洗濯物が散乱していたといいます。机の上には小銭が無造作に置かれ普段使っていたバッグはそのまま。裕貴さんの失踪には多くの謎が残されています。
1つ目の謎は、“小銭”。裕貴さんが小銭の中でも500円玉や100円玉などだけを持って出たようで、就職祝いなど、現金6万円が残されたままだということ分かりました。さらに、裕貴さんの父親が通帳記入を毎日しているといい、口座には残高が70万円以上ありましたが携帯電話料金が引き落とされる程度だったそうです。家出をするなら、ある程度お金を持ち出して行くものですが…。
2つ目の謎
2つ目の謎は、“鳥取方面への移動”。普段、自転車移動だという裕貴さんですが、失踪した8月25日は、自転車を残し東津山駅に向かったとみられています。そこからJR姫新線で2時間ほどかかる新見駅の防犯カメラに裕貴さんの姿は捉えられていました。
順子さんの話によると、「服装は最近のお気に入りの服だった。コンビニではお昼ごはんになるような、お弁当と飲み物を1人分だけ買っていた」「新見駅で江尾駅までの特急券と乗車券を買っているということがわかって」と明かしています。
裕貴さんが次に向かった先は新見駅からJR伯備線の特急と在来線を乗り継いで1時間半ほどかかる、鳥取県の江尾(えび)駅でした。しかし、江尾駅は防犯カメラがなく無人なため、裕貴さんがこの駅で下車したかどうかは不明です。
順子さんは「江尾駅は全く知らない駅だし、自宅からは乗り継ぎを含め4時間半くらいかかる。わざわざ行く理由がさっぱりわからない」と。また、江尾駅から徒歩20分ほどの所に高速バス乗り場があり、大阪・東京方面へ向かうバスのようです。しかし、大阪や東京に行くのは、裕貴さんの住む津山市から岡山市に出ればもっと容易だそうです。
3つ目の謎
3つ目の謎が、“失踪の動機”。順子さん曰く、トラブルなどはなく、連絡が取れなくなるということも、いなくなる兆候もなかったと話しています。職場でも真面目な勤務態度で知られており、先輩について一生懸命やっていたと会社の人がいいます。
失踪のわずか1週間程前に高校時代からの友人と一緒に旅行をしたという裕貴さん。「仕事関係で困っていることとか、人間関係で悩んでいることとか、そういうことは聞いていない。思い当たる節はない。むしろボーナスが入ったら車を買うんだとか、そういう楽しみなこと話していた」と友人が証言しています。
最近の若者には珍しく、裕貴さんはSNSのアカウントは持っていなかったのだそう。友人は「僕の知る限り、TwitterやInstagramといったSNS系は一切やっていなかった。あるとしたらオンラインゲームで知り合うくらいだ」と話しています。
突発的だった?
行方不明から2カ月半。帰りを待つ家族は、裕貴さんに毎日LINEを送り続けていますが、既読になることはなく、返事もなし。元埼玉県警捜査員は以下のように推測しています…
「家を出た時点では計画的ではなくて、短いスパンで帰ってくるつもりだったと思う。また、最初から1750円の切符を買っていたということは、やはり江尾駅に何か目的があったと思う」「長期間にわたって家出をするとなると準備が必要だ。しかしお金を下ろしたり、携帯を使ったという痕跡がないので心配な状態ではある。単なる失踪ではないと思う」
また、探偵事務所の話によると、「思いつめている方は思い入れがある所に立ち寄られる傾向がある。つまり、知らない街に行くのは心身ともに健康で、余裕がある場合だ。だから可能性としてはオンラインゲームでつながった人に会いにいった、もしくは呼び出され、突発的に出ていったという可能性が考えられ得る」と分析しています。
まとめ
今なお有力な情報を得られないまま家族は「ただ連絡がほしいだけ。みんな心配している」と訴えています。一日でも早く裕貴さんが見つかることを願いたいものです。