アマゾンが、荷物を配達員が指定場所に置いて帰る「置き配」を、標準の配達方法にする実証実験を開始しました。都市部など一部地域では、利用者が希望すれば「置き配」を選択できるようになりましたが、直受け渡しや宅配ボックスで荷物を受け取ってきた日本では利用者の抵抗感がまだまだ大きいようです。
置き配は利用者にとってもネット通販事業者にとっても圧倒的に効率的で、事業者側は置き配を選択する利用者を優遇するようになるとの専門家の見通しがあります。置き配をフル活用するかしないかの違いが、格差を招く可能性すら考えらると言われ始めており、「お客様は神様ではない」「サービスを受けたいなら対価を払うべきであり、安いサービスはそれなりの品質でよい」と言った声がネット上にあがっています。
アマゾンジャパンは10月から約1カ月間、岐阜県多治見市において、荷物を配達員が指定場所に置いて帰る「置き配」を標準配送方法にする実証実験を開始ししました。通常通り、対面での受け渡しを希望することもできますが、標準設定の場合には常に置き配になっていました。
多治見市には、多治見フルフィルメントセンター(FC)と呼ばれるアマゾンジャパンの中でも規模の大きい物流センターがあり、中部地方の配送拠点となっています。同社では、配送の効率化を図るため置き配の拡大を狙っていますが、日本市場でどの程度、置き配が受け入れられるのか確認することが今回の実証実験の目的と考えられています。
置き配は諸外国ではではかなり普及している配達方法で、米国では逆に手渡しにすると手数料を取られるケースもあります。
同社の置き配サービスは、Web上の決済画面で「置き配」を設定すると、置き配が可能な荷物についてはそれが標準配達方法に設定されます。配達員が荷物を置く場所は、①宅配ボックス、②玄関、③ガスメーターボックス、④車庫、⑤自転車のカゴ、⑥建物内受付/管理人 から選択でき、置き配達にしていると、配達員はインターフォンを鳴らさず、そのまま商品を置いて配達終了となります(指定場所に入らない場合には、インターフォンを鳴らすなど柔軟な対応を行っているとのこと)。
現在、日本では深刻な人手不足から、配達業務の持続可能性が議論となっており、今まで黙認されてきた問題点が続々と浮き彫りになっています。
その一方で時間指定で宅配時間を指定したのにも関わらず、時間通りに現れなかった業者に対してはこのような不満を漏らす声があるのも事実です。
佐川急便ほど約束を守れない宅配業者はいない。
午前中のうちに配達時間を19時~に変更の電話をしたのに15時に配達に来て不在通知がきた。
できない約束はすんなよ。
時間指定してもいつも決まった時間に来ないし。
個人で一度も使ったことがない宅配業者は佐川急便だけ。#佐川急便#宅配業者ADVERTISEMENT — スナフキン太郎 (@sunafukin_taro) December 26, 2018
今回のアマゾンの発表に対しても、反応は様々で「置き箱」に慣れていない日本人には、盗難等の心配を懸念する声の方が多いように思われます。
できないって言わない!RT @prostyleeee Amazonの置き配指定が不安すぎて指定できない。
不在受け取りなら宅配ボックス一択。#置き配指定 pic.twitter.com/gKITAbeKUQ— minoritt_bot (@minoritt_bot) June 1, 2019
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ですが、アマゾンでは、配達後には写真をメールなどで確認することができ、盗難などの際には同社が補償すると発表しているため、万が一盗難されたとしても、利用客には損害はないものと見られています。
実際に使って見ると、「置き箱」の効率の良さは、手渡しによりもはるかによく、荷物の配達時間を気にしながらスケジュールを調整しなくても良いことが最大のメリットになると思われます。
最近では「置き配バック(簡易宅配ボックス)」という、バッグとスマホのアプリを連携させた新しいサービスも提供されはじめました。「置き箱」を利用したいけど、盗難が不安だという方は、このような商品を利用すれば不安なくサービスを利用できるのではないでしょうか。