ネット上でも批判が相次いでいる後輩の消防士を逆さづりにするなどの暴行を加えたとする問題で、大阪府茨木市消防本部は11月12日、加害者である33~47歳の男性救急救命士3人を懲戒免職処分することを発表しました。
同消防本部の発表によると、消防司令補(47)は4月、消防署の車庫で20代の消防士にスマートフォンの写真を見せるよう強要したところ、消防士が拒んで逃げようとしたために捕まえて体全体をロープで縛り、ポンプ車の手すりに逆さにつり上げて5分ほど放置したとのことです。当時の状況について調査を行ったところ、消防司令補は「鬼ごっこをしていた」と釈明しています。しかし、この消防士に対しての暴行行為はこれだけではありません。
別の日には、下腹部の体毛をなくすとして、ライターの火に殺虫スプレーを噴射して炎を発生させ、消防士に上着をめくり上げさせて炎の前を通らせたことがわかっています。人命を救助するという立場からは考えられない卑劣な行為に驚きを隠せませんが、同じく白川分署に所属していた消防士長(34)と消防副士長(33)の2人も、今年の5月、出動の帰りに給油所に立ち寄った際、別の20代消防士の首に救急車内で自動血圧計の帯状器具を巻き付けたとしています。
被害にあった消防士が「やめて、こわい」と訴えたにもかかわらず暴行を加えたことがわかっていて、気管を圧迫されて顔色が変化した消防士を見て慌てて血圧計を外したところ、顔や眼球に点状の出血があったといいます。その後の調査では、署内で繰り返される暴力行為について、消防司令補は消防士長らに口外しないよう隠蔽を指示していたことがわかっています。この暴力行為について消防士長らは「首でも(血圧を)測れないかと思った」と話していたといいます。
記者会見で同消防本部は「あり得ない。やってはならないことだ」と怒りをあらわにしていて、「いじめ以上だ」との認識を示しました。また、監督責任を問い泉頼明消防長らも減給10分の1(3カ月)としたほか、幹部3人を懲戒処分したことを発表しています。泉消防長は、今回の暴行行為が発覚したことについて「良識を逸脱する行為で、市民の信用の失墜を招き、深くおわびする」と謝罪しました。同消防本部は月内にも全消防職員約260人を対象にアンケートを実施し、ほかに暴力行為がなかったか調べる予定だということです。
今回の消防署内でのいじめ行為に、ネット上では怒りの声が上がっています。「これ懲戒免職で済ませていいのか?暴行罪で逮捕するべきでは?」「実名報道しないんだ?」「全国の消防での不祥事、多すぎませんか?」「普通に犯罪。懲戒処分だけではなく、起訴すべき案件。」「人の命を炎から守る消防隊員が火で遊ぶとかいう謎。」「教師なども含めた公務員の不祥事が多い。人材不足で変なのも採用されるから末恐ろしい。」「消えそうな命を救おうとする側の人が人の首を絞める行為をするとは。」最近、こうした残念なニュースは消防士だけに限らず、教師などの公務員に多く確認されています。再発を塞ぐために対策を取ることが可能なのか、様々な議論が交わされています。