大相撲の秋場所千秋楽での優勝決定戦で左大胸筋を負傷した貴景勝(23=千賀ノ浦)が、大関に復帰する九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)出場の意欲を示しました。
稽古再開の貴景勝
1日、都内の部屋で稽古を再開。上半身にはほとんど負荷をかけず、四股やスクワットで下半身中心に体を動かしました。負傷した千秋楽から9日。左胸付近は広い範囲で内出血しており、この日は左腕を軽く動かす程度の運動にとどめました。「少しは良くなっていると思う。治療に専念してきて、今の色もひどいけど(前は)もっとひどかったから」と説明。場所後は患部を冷やすなどして安静に努め、日に日に「出血も治まってきた」という貴景勝。
負傷した場面については、御嶽海との決定戦で「立ち合いで自分が突いたとき」と改めて明かしました。「いつもと変わった突き方で、いつもより外側からいってしまった。御嶽海関も強くて圧があるし、自分の押し方が悪い。自分に原因がある」と、言い訳はしませんでした。「けがに対する残念はすごくあるけど、このけがが8日目とかだったら大関に戻れなかった。けがした中でも15日間取れて良かった」。23歳の若き大関は、腐らずに前を向いていたのです。
「痛くてもやらないといけない。安静は十分した。やれることをやる。足は元気。休憩してても意味ない。来場所に向けて始まっている」。悲壮な覚悟で再起へスタートしたのです。しかし、事実、まだまだ痛みは引かず、安静にするしかない段階のようです。
九州場所は昨年初優勝を遂げた場所。「自分のターニングポイントになった場所。無理して出るつもりはないけど、できるだけ出たい」。5日から石川・七尾市で始まる秋巡業は初日から休場するが「巡業にも出られたら出たい。しっかり巡業の空気に入ることが大事。(千賀ノ浦)親方と相談して決める」と、途中合流の可能性も示唆しました。「来場所に向けて始まっている。番付発表前が大事」と力を込めました。
復活劇が一転、再び訪れた試練にも「ケガを含めて実力だから」と受け止めている様子。冬巡業に途中合流する可能性も示唆。昨年、初優勝した九州場所に大関としての“凱旋”も絶対にあきらめはしないのです。
侍大関の心
秋場所後の理事会で暴行問題を起こした兄弟子の十両貴ノ富士が、協会から引退を促されました。部屋を巡る騒がしさが収まらない中、部屋頭としての意気込みを問われると「とにかく一生懸命やることが大事。自分もけがを治してやるしかないと思っている」と話しました。また、「無理はしないけど出るという気持ち。一生懸命やればチャンスは巡ってくる」と語る貴景勝。23歳、侍大関の心は不屈のようです。