“皆さん、ズドラーストヴィチェ!(ロシア語でこんにちは!) 生まれはロシア、育ちは関西、舞台は東京!ロシア系関西人の小原ブラスです。”
なかなかの話し手で人気を呼んでいる小原ブラスさんがニッポンの飲み文化について語りました。
小原ブラスは?
小原ブラス
1992年4月20日生まれ。ロシアで生まれ、5歳の時から日本に移住。
かつては某動画配信サービスで有名配信者として務めました。
現在はサラリーマンとして働きながら、YouTuber「ピロシキーズ」としても活動。
ロシア人の目から見たニッポン人
外国人、その中でも特にロシア人が初めて日本に来て驚くこと、それは「日本人ってお酒飲むんだ!!」という点です。
ウォッカの国ロシア、自分達こそ世界最強の肝臓を持ち、最もお酒を楽しむ民族だと信じてやまないロシア人にとって、日本の「飲み」の文化に触れるということは、それはそれは世界観が変わる出来事なのです。
日本人は勤勉で真面目、お酒にはとことん弱く、一滴も飲めないのだというのが一般的なイメージですから、仕事帰りにスーツ姿で飲むサラリーマンの姿を見た時には、「え!日本人も飲むんだ!」と衝撃を受けるのです。
毎日飲む!アルコール大国ニッポン
日本の「飲み」の文化で特徴的なのは、なんと言ってもお酒を飲む頻度の高さです。
日本人のアルコール消費量は世界と比べても多いとは言えませんが、アルコール消費頻度は世界でもトップクラスと言えるでしょう。
アルコール消費量が多いと言われるロシアでも、お酒はお祝いの日に飲むもので、理由も無くお酒を飲むことはありません。
その証拠にロシア語には「乾杯」という単語はなく、「○○を祝って~」と言いながらグラスをあてるのがマナーです。
お祝いの日に1度に飲むお酒の量はとても多いのですが、実はそのお祝いの頻度はそこまで高くはないのです。
(どうしても飲みたい時は「靴下を買ったことを祝って~」とくだらない理由をつけて飲みますけどね。)
一方で日本の場合、お酒を飲むのに理由が要らないのです。1日に飲む量は少なくても、ほぼ毎日のようにお酒を飲んでいる人も珍しくはありませんよね。
休みの日には家で晩酌、ご飯に行ったら「とりあえずビール」、仕事が終わったら仲間と居酒屋で飲んで帰るし、その後コンビニで買って歩き飲みなんて人もいます。
日本人の飲み方はとにかく少量を高頻度で!なのです。
「仕事帰りに一杯だけ飲んで帰ろうや」なんて言葉はロシア人には理解できないでしょう。1杯だけ?なんじゃそら?となるのです。
「ジャパニーズ飲み」は憧れの文化
これだけ日常的にお酒に触れる機会の多い日本人ですから、お酒を飲める場も段違いに多く、行きたい店を決めずに街を歩いても必ず飲める店にあたります。
ご飯を食べるよりもお酒を飲むことに重きを置いた店が、こんなに沢山あるのは外国人にとっては新鮮で、外国人のガイドブックの居酒屋特集は1番の人気コーナーです。
外国人にとっての日本のイメージは、昼は美しい日本庭園、夜は飲み屋街の看板地獄!
新宿ゴールデン街を歩けば、憧れの「ジャパニーズ飲み屋」を目指して歩く外国人の団体をいくつも見かけますし、皆ワクワクした目で楽しそうです。
そんな飲み屋、高頻度でお酒を飲む日本人を飽きさせないように、色んな種類のお酒がこれでもかと言うほどあるのです。
ロシアでお酒を飲むと言ったら、ウォッカ、ビール、ワイン、コニャック、ブランデーぐらいでしょうか。飲み方もストレートかロックぐらいしかありません。
日本はあらゆるお酒が用意してあるだけではなくて、弱い人でも飲める、水割りなど色んな飲み方もある、相変わらずの日本のサービスです。
また、お酒が高くないのもジャパニーズ飲みの良いところです。
高くないからこそ、1軒のお店に留まらず、2軒目3軒目とハシゴしてお店を変えることが出来るのです。
このお店をハシゴする文化、途中退席を言い出しにくい人への配慮という意味でも外国人は大絶賛です。
今や日本は世界中のお酒を安く、美味しく飲める、お酒を楽しむ国になったと言っても過言ではありません。
お酒を楽しむという点に関してはロシア人も顔負けです。
日本人はなぜ頻繁にお酒を飲むのか
日本人にとっては当たり前なジャパニーズ飲み文化、なぜ日本人は頻繁にお酒を飲むようになったのでしょうか?これには2つの理由があると考えます。
まず、欧米人と日本人のお酒を飲む理由、飲んで何が楽しいのか?という点の違いです。
欧米人はお酒を飲み酔うことで「あなたには油断した姿を見せますよ」とお互いにアピールをして、互いの信頼を深めるというのが主なお酒を飲む目的です。
だから日本のように上司やクライアントと飲む機会は少なく、お酒は友達とワイワイ飲むものです。
友達に会う一つの手段でもありますね。
日本人の場合はお酒を飲み酔うことで、普段言えないことを言えるというのが1番の楽しみとなっているように感じます。
普段あまり話さない同僚と少し下世話な話をして、お互いの共通点をお酒の力を借りて見つけたり、普段は遠慮して言えないことを上司に言ってみることが出来たり…
はたまた「会社では自分の立場を守るために賛同してしまったけど、あの企画書はどうかと思う」と意見を言ってみたり…たとえ的をはずしたことを言ってしまっても「酔ってたから」と多少許される場になっている訳です。
面子を大事にする日本人にとって自分の意見を押し殺す場面が多い分、その吐き出しの場としてお酒を飲む場が重宝されているのではないかと思うのです。
日本人と飲むと愚痴で盛り上がりますが、欧米人と飲むと共通の趣味の話題で盛り上がるのはこの違いなのですね。
そしてなにより、お酒を外で飲んでも安全であるという日本の治安の良さがその次の理由です。
お酒を飲んで酔うということは、油断し無防備になるということです。
ロシアでは気軽に外出先で無防備にはなれません。飲むのであれば基本的には誰かの安全な家です。
もちろん外で酔っ払って寝てしまうサラリーマンもいませんし、ぐったり吐きそうになりながらうずくまっている女子を見かけることもありません。
うっかり外で眠って凍死なんて結末もありますからね。これは安全な日本ならではの光景なのです。
日本人の気質、そして安全な環境がジャパニーズ飲み文化が確立した要因なのですね。まだまだ外国人に対して売り込める日本の良さは幾らでも見つかりそうです。
余談ですが、個人的にはもっと世界に「梅酒」を知って欲しいです。僕が好きすぎるというのもそうですが、知り合いの外国人女性で梅酒を知ってハマる人が多いことに気がつきました。
絶対に世界に通用するお酒なので、東京五輪をきかっかけに世界に羽ばたいて欲しいものです。
まとめ
久しぶりに会う友達と、会社のクライアントや目上の人と口火を切るためにはお酒のようにいいきっかけはないでしょう。
しかし、飲みすぎは体によくないので、慎重に責任を持って飲むことにしましょう。
とこれで、今夜ビールいっぱいでリフレッシュはいかがですか?