同居する4歳女児の頭を殴ったとして、鹿児島県警捜査1課などは1日までに、暴行容疑で同県出水市明神町の建設作業員、日渡駿容疑者(21)を逮捕しました。日渡容疑者は「間違いない」と容疑を認めているという。女児はその後死亡し、同課が関連を調べています。
把握できず
逮捕容疑は8月27日午後7時半~同8時ごろ、自宅で大塚璃愛来ちゃん(4)の頭を拳で殴打した疑い。同課によると、日渡容疑者は璃愛来ちゃんの20代の母親の交際相手でした。28日夜、同容疑者が璃愛来ちゃんを病院に運び、病院が29日午前0時すぎ、「風呂場で溺れたという女児が死亡した」と出水署に通報しました。司法解剖の結果は水死とみられるが、頭や全身に殴られたような痕が複数あったそう。事件当時、母親は不在だったといいます。
県警によると、3人は遅くとも7月以降、出水市で暮らしていたそうです。以前住んでいた同県薩摩川内市で3月下旬~4月上旬、「夜間に子どもが一人で歩いている」と通報があり、県警は計4回、璃愛来ちゃんを保護。うち2回は児童相談所に通告したが、児相は保護していなかったというのです。
厚生労働省の職員は鹿児島県中央児童相談所を訪れ、児相の対応が適切だったかなどについて聞き取り調査を実施しました。また、璃愛来ちゃんが4月~6月に通っていた保育園によると、約3カ月間で15日しか登園していなかったことも判明したのです。県警は継続的に虐待を受けていた可能性もあるとみて調べている。
出水市と児相はそれぞれ、母親に交際中の男性がいることは認識していたが、事件発覚まで同居の事実は把握できていなかったようです。出水市は暴行前日の8月26日、自宅を訪問し母子と面談したが、「男性の影はなかった」と説明しています。児相は4月、育児放棄(ネグレクト)と認定する一方、母子の関係に大きな問題はないとして、一時保護はせず、母子が7月まで住んでいた薩摩川内市と連携し、保育園の登園状況などを確認するなど継続的に関わる方針を決定。
しかし、佐多士郎所長によると、4月11日と5月13日に前後計5日分の登園状況を確認しただけで、少なくともうち2日欠席していたのに理由も把握していなかったという。6月以降は登園状況を確認していなかったのです。児相から見守りの依頼を受けていた薩摩川内市も4月以降、約10回にわたって登園状況を確認していましたが、児相には1度しか報告していませんでした。保育園によると、璃愛来ちゃんは無断で休むことが多かったとこと。
璃愛来ちゃんは8月27日、出水市の自宅で同居する日渡容疑者に頭を殴られ、同28日に運び込まれた病院で死亡が確認されました。県警は、20代の母親からも事情を聴くなどして詳しい経緯を調べています。
児相や市の対応
県の中央児童相談所の佐多所長は「もっと関係自治体と関わっていくべきだった」と述べ、児相の姿勢に不十分な点があったとの認識を示しました。救えたはずの命がまた一つ奪われてしまいました。幼い子に暴力を振るった容疑者や母親の行動は許せるものではありません。しかし、その周りで子供を見守るはずの児相や市の対応がもっと懸命なら違った結果になっていたはずです。