キスシーンは恋愛がテーマの映画やドラマの場合、文字通りの最大クライマックスとなります。主人公らが幾つかの障壁を乗り越えて相思相愛になった瞬間を表現するための必須シーンでもありますが、正視できないほどのリアルさを感じるキスシーンもあり、その理由には日本古来の風習も関わっていると考えられています。
挨拶のキスがない日本のキスシーン
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日本の映画やドラマで描写されるキスシーンは、基本、恋人同士や夫婦など相思相愛の関係になった者同士でのみ交わされるものとなっています。ハリウッド映画などの欧米作品では親子や友人同士でも軽い挨拶のキスを交わす場面が多く見られるだけに、恋人同士の場合でも気軽なムードのキスでは特段のドキドキ感が感じられないほどとなっています。日本の映像作品でのキスシーンに特にドキドキしてしまうのは、欧米のような挨拶のキスという習慣が無いことも一因と考えられています。映像作品などでのキスシーンは、かなり親密な関係になった証の表現にもなっています。
かつての日本では下品になりかねなかったキスシーン
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現代日本ではキスシーンと言えば恋愛ドラマや映画、漫画やアニメにおいてもクライマックスの最も良いシーンの一つであり、それぞれの相手役とキスシーンに臨む俳優のファンにとっては心穏やかでいられない無念のシーンでありつつ、相手が自分だったらと想像しうっとりする場面でもあります。そんなキスシーンもかつての日本ではかなり下品な表現として扱われかねない面がありました。特に人前でキスをする風習のなかった昔の日本では口づけどころかキスという気軽感が全くない「口吸い」という用語で表現され、その時点でディープキスの類を連想するムードにあふれていました。
東洋人同士のキスシーンから感じる濃密さ
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恋愛ドラマや映画などのキスシーンでことさらにドキドキしてしまうのは日本の映像作品に限ったものではなく、アジア圏の映像作品でのキスシーンに共通する感覚とも言われています。一つには基本的に挨拶のキスが歴史上自然に育たなかった文化圏であることから、キスシーンからそのまま次の行為に直結する印象を抱かせがちという点にあるとされます。誰もいない室内で恋人同士が交わすキスはキスだけで終わらないムードを濃厚に感じさせ、見る人の想像をいっそうかき立てるキスシーンとなっていることで、さらにドキドキが高まると考えられます。
キスシーンにプラスアルファされる魅力
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近年、漫画表現から始まったと言われる「壁ドン」や結婚式でも人気の「お姫様抱っこ」などキスシーンに匹敵する人気シチュエーションが増え、そういったドキドキシーンを愛好する層をさらに喜ばせています。日本の恋愛ドラマや映画などでもそういったシチュエーションを積極的に取り入れて、壁ドンからのキスシーンなどムードをいっそう高める場面設定が工夫されています。目の肥えた視聴者が急増している昨今、古典的なキスシーンだけでは満足されないムードも高まり、恋愛シーンを盛り上げる演出等を行う人々の頭をいっそう悩ませる事態になっています。
キスシーンに至るまでの流れが重要
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情緒を楽しむ日本人は欧米のようなライトなキスシーンにも憧れつつ、紆余曲折を経てようやく両思いになった二人が満を持して口づけを交わすキスシーンにこそ魅了される面があります。キスシーンそのものよりも二人が顔を近づけ始めるところや目を閉じる瞬間などにドキドキの最高潮を迎えると言っても過言ではなく、むしろそれを期待してキスシーンを待ちわびる面もあります。