2015年8月、長渕剛さんが富士山麓で10万人の観客を動員したいわゆる「富士山ライブ」のニュースを耳にした人は多いと思います。10万人という膨大な数の観客と21時開演、終了は日の出の後という長時間の富士山ライブはもはや長渕剛の生ける伝説として報道されました。でも、実はその伝説の富士山ライブは散々な実情であったことが参加者の口から明かされています。
写真:amazon.co.jp
まずチケットですが、長渕剛富士山ライブは1万5000円で発売されています。熱狂的ファンが多いことで知られる長渕剛さんですが、不景気なご時世、富士山という土地での10万人という大規模な野外ライブに1万5000円を投じる人はそれほど多くないようでチケットの売れ行きは芳しいものではありませんでした。10万人規模なので、よほど良い席でない限り長渕さんの姿は豆粒ほどしか見えず、しかも富士山まで出向かなければいけないということでハードルは高く、夏が近づいてもチケットは大幅に余っていたと言います。
写真:hageguma.exblog.jp
7月ごろから長渕剛さんは歌番組だけではなく、普段は出ないようなバラエティ番組や情報番組にゲスト出演してPRを精力的に行っていたものの、チケット転売サイトでは1枚500円でも売れ残っている状態で、実際のライブ会場では観客は3万人程度だったのではないかといわれています。しかしながら、長渕さんは機嫌を損ねてしまうと取材に応じてくれなくなるため、報道では「10万人ライブ」と伝えられたようです。
写真:cdjournal.com
富士山ライブは夜の9時から始まり第一部が2時間、休憩を挟んで深夜0時半から始まった第二部は1時間半、3時頃に始まった第三部は1時間、そして第四部の途中で日の出を拝み、その後アンコールを3曲歌って終わったのは朝6時半です。このような長丁場のスケジュールの為、朝5時あたりから交通渋滞を考慮した人や、体力の限界が来た観客たちが次々と退場する様子がうかがえたと言います。
写真:taru-counseling.blogspot.kr
しかしながら、このライブが行われたのは富士山麓で、基本的にはシャトルバス移動です。アクセスの悪い会場であったため、バス停まで1キロ近く歩かなければならない上にバスに乗る際の混乱を避けるために観客は事前に配られているリストバンドに記されているカナ順でしかバスに乗ることができませんでした。チケットが余っていたとはいえ観客は数万人規模です。ア行のリストバンドを持っている人は良いですが、後半のカナの人はライブ終了から10時間以上、炎天下でバスへの搭乗を待ち続けなければいけませんでした。体調が悪くなる人も続出しましたが、救急車を呼んでも待てど暮らせどやってこないため、タクシーを呼びたいとスタッフに頼んでもシャトルバス以外はダメだと拒否されたそうです。帰宅者用に16もの仮設トイレが用意されていましたが、これも時間の経過とともに半数以上が使用不可の状態となり、こちらも大混乱をきたしました。
写真:commons.wikimedia.org
このようにライブ終了後に大混乱をきたした富士山ライブですが、実は開始前にも大きなハプニングを起こしていました。長時間ライブのため、観客のための救護用テントが用意されていましたが、なんと長渕剛さんを乗せたヘリがやってきた際のヘリの風圧でこのテント二つが倒壊し、中にいたスタッフが負傷してしまいます。悲鳴が上がり、救急車が駆け付ける中でのライブ開始となり、のちに静岡県警が業務上過失傷害の可能性があるとして捜査したほどです。
写真:zen-rider.jp
数万人規模の巨大ライブ、そして富士山麓というアクセスの悪い土地での開催だったため観客の移動手段や方法に大きな不手際を感じた人が多く、散々な思いをしたと憤る人が多数でしたが、熱狂的長渕ファンの中にはこんな破天荒なことをするのは長渕だけ、とトラブルを含めてライブを満喫していた人もいたと言います。