金田一耕助という名前を知っていますか?
もしかすると、漫画の金田一少年のほうが最近は知られているかもしれません。元となる金田一耕助という探偵を最初に作り上げたのは、作家の横溝正史です。本格的なミステリーを書いた小説家で、作家内にもファンが多い作品を多く生み出しました。そのうちのシリーズのひとつが金田一耕助シリーズです。
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金田一耕助シリーズの特徴は、まず私立探偵である金田一耕助がひょんなことから事件解決のために田舎の旧家や東京に足を運び、その土地の因縁や人物関係などを少しずつ明らかにしつつ、謎を解くというのが大まかな展開です。それが何故人気になったのかというと、探偵である金田一耕助の外見は人に好かれやすく、どちらかといえばあまり容貌が良くないほうですが、推理のことや観察眼となると一流の力を発揮するのです。そのギャップと知識に魅了され、シリーズのファンになる人も多いのです。
このシリーズのおすすめ作品は非常に多いのですが、やはり有名どころから入るのが最も親しみやすい方法ではないでしょうか。それであれば、映画版「八つ墓村」をまず最初におすすめします。
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実は少しだけ異色な作品なのは、金田一耕助を演じているのが渥美清であること。金田一耕助といえば演じるのは石坂浩二や古谷一行などが知られていますが、こちらの作品だけは通常とは異なる俳優で作られています。
特に1977年度版をおすすめするのは、やはりこの映画が当時の大ヒット作であったことと、ストーリーに若干手が加えられ、わかりやすくなっていることが理由です。
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金田一耕助は、岡山県の旧家の連続殺人事件の解明のため「八つ墓村」を訪れます。そこは過去に逃げ延びた平家の落ち武者を村の全員でだまして殺害したといわれる因縁の土地でした。その因縁に乗じて旧家の跡取りの争いが起こり、殺人事件が次々と発生します。
この事件は実は実際にあった岡山の事件をモチーフとしており、クライマックスの山崎努演じる狂気の殺人鬼の姿は、ネットの上でもよく取り上げられています。
次におすすめするのも、金田一耕助シリーズの有名作品「犬神家の一族」です。こちらも映画化されています。
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これは一連のヒットシリーズ、石坂浩二の金田一耕助シリーズのうちのひとつです。傷痍軍人として旧家に戻ってきた助清の被っているマスクが怖いことでも有名です。実際は「八つ墓村」と同じように、旧家の跡取りをめぐる殺人事件が展開されます。しかしその死にざまがインパクトがあり、特に湖から足が二本飛び出している死にざまのシーンなどは非常に有名です。
石坂浩二の金田一耕助シリーズは非常にポピュラーなので、ここから金田一耕助シリーズに入った人も多いことでしょう。このシリーズが気に入ったのなら、金田一耕助シリーズの映像化作品は大抵見ることができます。順序通りにいえば、このあとは「悪魔の手毬唄」から、「獄門島」に続きます。
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映像化作品だけではなく、横溝正史の本作品のほうを読んでみたいと思われた方であれば、最初の作品は「本陣殺人事件」をおすすめします。金田一耕助初登場の作品であり、これから続くシリーズの最初の作品です。ですがすでに人間関係や運命などに翻弄される人の姿はきちんと描かれ、横溝正史ファンの中では金田一シリーズでは本陣殺人事件が最も面白いというファンも多いです。
さらに、ミステリー作品ナンバー1であると言われている「獄門島」や、何度もリメイクされる人気をもつ「女王蜂」もおすすめです。
金田一シリーズは、金田一の人柄そのものにも魅力を感じますが、その作品ごとに事件の背景にある因縁や、運命、身分の違いなどの社会のやるせない部分などが伝わってきます。いつの時代を通しても、面白い作品はいつも面白く感じられるものであることがよくわかる作品群です。