銀魂といえば今年実写映画化もされた、言わずと知れた人気漫画です。もちろんアニメも大人気。グッズ展開はもちろんのこと数々の商品ともコラボするなど、少年ジャンプの中でも代表的な作品と言えるでしょう。
舞台は幕末をモチーフとした架空都市江戸。主人公坂田銀時をはじめとして魅力的なキャラクターが登場します。
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登場人物は基本的にそれまでのジャンプ漫画にはない主人公像だったり、ヒロイン像だったりするのですが、その中でも常に賛否両論を巻き起こす人物が真選組局長近藤勲です。
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近藤勲を語る上で、まず外せないのが「ストーカー」でしょう。志村新八の姉、お妙さんのストーカー。初回の登場からもうストーカー。警察のトップなのにストーカー。これがくどいほどに一貫して貫かれています。いくらお妙さんに殴られようが、蹴られようが、寒空の下で全裸で立たされようが、お妙さんへの愛が薄れることはありません。
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このストーカーイメージは作中でも真選組の汚点として描かれてはいます。実際読者からしても、とても「かっこいい」と言えるものではありません。ストーカーは犯罪ですから。見た目もゴリラですから。しかし、これこそが近藤勲のアイデンティティとなっているのです。このストーカーという一見最悪なイメージでもアイデンティティとしてしまう強さがあるのです。お妙さんの強さのおかげとも言えますが。
ストーカーではありますが、この恋を応援している読者も少なくないはずです。これは大変ずるいところだと思うのですが、ごく稀にお妙さんといい感じになることがあるのです。それが不覚にもキュンとくるのです。
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ストーカーはマイナスイメージですが、それを補って余りあるほどに「面白い」。まず、これが最も大きな魅力だと思います。全裸に脱糞。そういったところがグッズ化には繋がり難くなっているのかもしれません。そして、人気がない、カッコよくないと思われる原因かもしれません。しかし、そんな設定を背負ってもなお作品には欠かせない存在なのです。オチへの安定感は言わずもがな。ただし、そんなにいじめないでと若干同情する場合もあります。いかなる仕打ちを受けようとも、少しもめげないタフさが安心感に繋がるのではないでしょうか。
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そしてもう一つ大事なことがあります。このゴリラなストーカーが、戦うのです。仲間のために友のために。お妙さんの笑顔のために。たとえ報われなくとも、仲間のために命を懸ける。それこそが、近藤勲の生き方なのです。命を懸けて戦うその生き様が、この上なくかっこいいのです。
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銀魂は主人公からしてダメ人間として描かれています。各キャラクターのギャップが大きいというのが、作品全体を通して言えることですが、近藤勲の場合はそれが際立って大きいのです。そしてそのかっこいい部分が作中で活かされない、お妙さんに伝わらないというのがもどかしくもあり、「らしさ」ともいるのではないでしょうか。
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銀魂のストーリー自体がギャグとシリアスとの落差が大きいので、手に汗握る展開も数知れません。そもそもが史実を基にしています。そのため大まかには歴史の流れ、結末というものが見えてしまっています。しかしそんな中でもきっと生き抜いてくれるんだと、新撰組をはじめとした仲間たちを守ってくれるんだと、信頼できるのがこの近藤勲の魅力であり実力だと思います。そして何より生き抜いて欲しいと読者が願わずにはいられない、誰からも愛される魅力的なキャラクターなのです。
明らかに見た目からかっこいいキャラクターではないけれど、むしろゴリラでストーカー。作中でも散々な扱いです。それでも真選組の信頼関係。ギャグとシリアスとのギャップ。マイナス要素さえも魅力として昇華してしまう、その懐の深さ、心強さが何よりの魅力なのです。