冬の野菜というイメージが強い大根ですが、実は夏ものと冬ものという2種類が存在します。これは、種まきと収穫の時期によって区別されるものですが、味も違ってきますので味わい方もそれぞれ違う方法になります。春に種まき・夏までに収穫したものは「夏大根」、秋に種まき・冬の間に収穫したものは「冬大根」と呼ばれていますが、夏ものは水分量が多く、硬めで甘味が少なく、冬ものは冬の寒さで凍らないように糖分を溜め込んでいるために甘みがあると言われています。
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夏ものはサラダなどの生食や炒め物、また、摩り下ろして使ったりするのがおすすめです。含まれている成分としては、消化酵素ジアスターゼで夏場に弱りがちな胃腸の調子を整え、ビタミンC・B2で強い日差しで疲れている肌をいたわりましょう。大根の生食は身体を冷やす効果がありますが、食べ過ぎには注意したいところです。
冬ものは煮物がおすすめです。最もおいしい季節である冬に収穫された大根は、煮込むことによって甘みがさらに引き立つので、そのままでも大根そのもののダシがよく出ます。旬の大根を収穫してすぐ、水洗いして食べるのが一番おいしいとも言われています。
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大根は主菜にも、汁物にも、そして副菜にもなるとても重宝する食材です。レシピも葉・上部・中部・下部とそれぞれの味や食感の違いを活かしたものがたくさんあります。2種類の大根を楽しむレシピとして、夏ものではまず「大根めし」です。小さめの短冊切りにして、しょうがの千切りと共に炊き込みご飯を作ります。葉は刻んでごま油少々で炒め醤油で味を調え、炊きあがったご飯にかつおぶしと一緒に混ぜ込みます。夏もののみずみずしさは炊き込んでも健在で、葉っぱのほんのりとした苦味がさわやかに感じられる一品です。夏ものはなんといっても太陽の光をたくさん浴びて栄養満点ですので、炒めるのが美味しいとも言われています。ごま油を使って、砂糖、酒、醤油の味付けにてきんぴら炒めがおすすめです。焼くことで辛みも幾分抑えられます。
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夏ものに比べてやわらかめの冬ものですが、葉っぱ近くの上部はやや硬めですが、非常に甘くなっていますので、薄めにスライスしてサラダ、漬物にするととても美味しく、大根おろしにしてサンマの塩焼きなどに合わせると何とも言えない美味しさと共に消化も助けてくれます。千切りにはスライサーを利用すると簡単便利です。消化酵素ジアスターゼは二日酔い・食欲不振にも効果がありますが、熱に弱い特性がありますので、二日酔いの翌日にはサラダなどで摂取しましょう。
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中部は煮物・フロフキ大根・ステーキ・おでんなどに向いています。これらを調理している間に、浅漬けを冷蔵庫で仕込んでおけば、あっという間に2品が完成します。中でも辛みが強くて繊維が多い下部は、なるべく細かく刻んで利用するレシピが合います。味噌汁に入れると繊維も辛みもやわらぎますので、おすすめです。細かく刻んでごま油で炒めてから汁物に加えると、コクと風味がさらに増えます。
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煮物やステーキなどをする際には、皮を厚めに剥きますが、これは皮のすぐ下に筋があるためです。やわらかく仕上げるためにも皮を厚く剥き、その皮でももう一品作りましょう。剥いた皮を細切りにて保存容器へポン酢をひたひたになるくらい入れて蓋をし、冷蔵庫で半日置けば「ポン酢漬け」のできあがりです。お好みで柚子の皮を加えると香りが良くなります。日持ちは一週間ほどです。市販の塩昆布と和えるだけでも、おいしい逸品ができあがります。また、大根の皮はかき揚げの具にも使えます。三つ葉やニンジン、玉ねぎなどと一緒に細切りにした皮を揚げると、メイン料理にもなります。