睡眠中に赤ちゃんが死亡する病気が、乳幼児突然死症候群です。最近は、略してSIDSと呼ばれることも多いです。乳幼児突然死症候群は、何の予兆もないまま、乳幼児が死に至る原因が不明の病気で、乳児期の死亡原因の3位に入っています。
今のところ、乳幼児突然死症候群の予防方法は確立していません。ただ、次のポイントを守ることで、乳幼児突然死症候群の発症率が低くなると考えられています。
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乳幼児突然死症候群は、仰向けでもうつ伏せでも発症しますが、寝る時にうつ伏せに寝かせた時の方が乳幼児突然死症候群の発生率が高いという調査結果が出ています。医師の判断でうつ伏せを勧められている以外は、赤ちゃんの顔が見えるように仰向けに寝かせます。仰向けに寝かせることで、睡眠中の窒息事故を防ぐのにも有効です。
母乳で赤ちゃんを育てると、様々な面でメリットがあります。実は、母乳で育てられている赤ちゃんの方が、乳幼児突然死症候群の発生率が低いというのが研究者の調査でわかっています。
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タバコは、健康に悪影響を及ぼすことは、多くの人が知っていますが、妊娠中の喫煙は、乳幼児突然死症候群の大きな危険因子でもあります。妊婦はもちろん、家族も喫煙しないように気を付ける必要があります。
乳幼児突然死症候群は、前兆が一切なく、原因も不明なのが特徴の病気です。ただ、男児や早産した赤ちゃん、低出生体重児、人工授乳児に多く発症すると言われています。時間帯を見ると、早朝から午前中にかけて起こりやすく、冬の寒い時期は注意が必要です。
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アメリカの小児科学会では、14項目の注意事項が発表されています。
乳幼児が1歳になるまでは仰向けに寝かせる。硬いマットレスなどの上に寝かせて、フワフワの布団には寝かせない。ソファーやイスは、隙間に顔がはさまる危険があり、窒息するケースがあるので、決して寝かせない。母乳で育てる。できれば、1歳くらいまでは親と同室で寝る。
乳児が寝る場所に枕やぬいぐるみ、キルト、掛布団などは置かない。赤ちゃんを寝かせる時におしゃぶりを与える。妊娠中と出産した後は禁煙する。妊娠中と出産後は禁酒する。乳児がいる部屋を必要以上に暖めない。妊婦は定期検診を受ける。推奨されているワクチンを接種する。乳幼児突然死症候群は原因が明らかではないので、乳児の突然死を避けると宣伝されている器具は使わない。乳児を毛布などで包まない、という14項目です。
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乳児の死亡率が世界で最も低い国のひとつであるフィンランドの政府は、ここ何十年もの間、ベビーベッドとして使用できる段ボール製の箱とベビー用品を支給してきました。最近では、アメリカでもフィンランドを見習って、病院や公的な医療機関で無料のベビーボックスを提供する動きが徐々に広がっています。オハイオ州では14万個、ニュージャージー州では10万5000個支給すると発表されています。ベビーボックスには、赤ちゃん用のおむつ、服、授乳パッドも入っています。アメリカで配布されているベビーボックスの大半を製造しているメーカーは、独立したラボでベビーボックスを自主的に検査しており、安全基準を満たしていると発表しています。ただ、ベビーボックスを貰うためには、赤ちゃんの安全な寝かせ方を学ぶオンライン講習を受けることも義務付けられています。
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日本では、乳児保育が重要になっており、乳幼児突然死症候群の発生を防ぐために、保育士の負担が増えています。そのため、乳幼児を見守る監視モニターやベビーセンサーなどの設備を導入する施設も増えているのです。
2017年9月には、東京都など一部の地方公共団体において、乳幼児を監視するモニターやセンサーなどの設備の導入を促すために、助成金の支給が決定されています。