ファッション界では、昔流行ったトレンドが再流行することがよくあります。そのような中、今注目されているのが70年代のファッションといわれています。ここでは70年代に日本、特に女性の間で流行したファッションや、70年代ファッションが生まれる背景やその特徴について紹介していきます。
日本で70年代に流行したファッション
1970年代に流行したファッションとは、どのようなものなのでしょうか。日本を中心に見てみましょう。
70年代、アメリカのサブカルチャー文化が渡来した日本では、テニスやサーフィンなどのアメリカンスポーツが人気になっていました。その影響もあって、ジーンズをはじめダウンジャケット、トレーナーなどのカジュアルファッションが流行しました。
具体的なアイテムとして流行したのは、縄編みの柄が浮き出すように入っているアランセーター(フィッシャーマンセーター)や、裾が大きくなっているベルボトム(パンタロン、ラッパズボン、ブーツカットとも呼ばれる)などです。また1969年にイヴ・サンローランがサファリルックを発表したのをきっかけに流行したサファリジャケットは、人気刑事ドラマ『太陽にほえろ!』のジーパン刑事やテキサス刑事の衣装にもなりました。
日本の女性の間で70年代に流行したファッション
女性ファッションとしては、特にホットパンツが流行しました。1967年のツイッギー来日によってミニスカートが人気になり、女性たちは脚を露出することへの抵抗が減っていました。そのような中、ミニスカート人気が冷めやらぬ間に日本に伝わったホットパンツは、若い女性を中心に流行したのです。
また今でも女子に人気の『an・an』『non-no』など、数多くのファッション雑誌が創刊されたのもこの頃です。その『an・an』からは、ニュー・トラディショナルの略であるニュートラと呼ばれるファッションが流行しました。ワンピースやジャケット、カーディガンなどの3つボタンのアイテムに、海外高級ブランドの小物を合わせるお嬢様スタイルです。この時代から、若い女性にとってのおしゃれなファッションが注目されるようになっていきました。
70年代ファッションが生まれるまで
このように様々なトレンドを生み出した70年代ファッションは、どのようにして誕生したのでしょうか。
1950年代は、フランスの有名ブランド「ディオール」を立ち上げたファッションデザイナー、クリスチャン・ディオールを筆頭に、オートクチュールがファッション界の流行を作り出していました。特に「Hライン」や「Aライン」など、シルエットの変化を打ち出すスタイルが流行を極めました。しかし1957年のディオールの死により、限られた層にしか門戸が開かれていなかったファッション産業は変化していきます。1960年代になると、アメリカの広範囲にわたる消費者層が対象となっていったのです。オートクチュールという高級オーダーメイドから、既製服産業へと移行したことにより、若者たちもファッションを自身で選ぶようになりました。オートクチュールから降りてくるファッションではなく、ミニスカートやヒッピーファッションなど、ストリートからも1つの流行が生まれるようになったのです。日本でも、ヒッピー風のサイケ調ファッションが流行しました。
大きく変化した70年代ファッション
このような60年代の流れを引き継ぎながらも、1970年代でファッションは大きく変化したといわれています。デザイナーが思い思いの服を発表し、消費者はその中から好きなものを自由に選び着ることができる、多様性の時代に突入していきます。「イッセイミヤケ」や「ケンゾー」などのブランドで現在でも有名な日本人デザイナーも数多く誕生し、多くのコレクションを発表しました。
特にこの時代に注目されたのは、これまでは作業着として扱われていたジーンズです。ハイファッションのデザイナーがジーンズを取り入れたファッションを生み出し、ジーンズはおしゃれの定番アイテムとなっていきました。今でも多くの人に愛されるジーンズは、この頃から人気になっていったのですね。
まとめ
ファッションが富裕層だけのものでなくなり、若者も含め多くの人々がファッションを楽しめるようになっていた60年代を土台として、70年代の多様性のあるファッションは生まれました。日本でも様々なアイテムが流行し、ファッション雑誌の登場によって、若い女性も今まで以上にファッションを重視するようになったのです。この時代があったからこそ、私たちもファッションを楽しめているのですね。その歴史もアイテムも魅力的な70年代ファッションを取り入れて、おしゃれを楽しんでいきましょう。