小説家の金原ひとみさんが弱冠20歳の時に書き、芥川賞を受賞した小説を映画化した『蛇にピアス』。監督は蜷川 幸雄で、ヒロインを吉高 由里子が演じ、その他高良 健吾、ARATA、小栗旬、唐沢 寿明、藤原 竜也など豪華な役者陣もさることながら、吉高 由里子が濡れ場を演じたことでも話題になったこの映画について紹介していきます。
『蛇にピアス』とは要約するとどんな映画か?
主人公であるルイが、蛇のように二股に分かれたスプリット・タンをもつアマと、身体改造の店のオーナーであるシバさんと出会ったことから物語は始まる。
ヒロインの吉高 由里子の体を張った熱演が見どころの『蛇にピアス』
この映画に見どころは壮絶なバイオレンスもありますが、一番は体を張ってヒロインを熱演した吉高 由里子さんの演技です。蛇のような二股に分かれたスプリット・タンという舌をもつ高良 健吾さんが演じるアマと、身体改造の店のオーナーのARATAさんが演じるシバさんとの濡れ場を見事に演じきっています。この作品で堂々とヌードを披露していますが、いやらしさはなく妖艶な感じがあり、その世界観に引き込まれてしまいます。吉高さんはこの映画に出演する前に、監督の蜷川さんに「裸を見ないで撮れるんですか。」と言い放ったエピソードが有名です。『鬼の蜷川』と呼ばれるくらい厳しい監督だった蜷川さんに対してこんなことを言えるなんて吉高さんは肝が据わった女優さんですよね。吉高さんは実際に蜷川さんに裸を見せたそうですが、蜷川さんの方が顔を手で覆って少し恥ずかしそうな様子だったそうです。
『蛇にピアス』はどのような物語なのか?その驚きのラストとは?
アマと出会ったルイは、スプリット・タンを持つアマと知り合い、アマの紹介で知り合った彫り師のシバさんとも身体を重ねていく。ある時、アマが喧嘩した暴力団風の男が自殺したという記事を見つけ、警察がアマのことを捜していることに不安を覚えるルイ。それから間もなく同棲していたアマがルイに無断で帰ってこなくなり、死体で見つかった。死体が見つかる前に、シバさんにアマが帰ってこないことを相談していたルイだったが、アマの死体の陰部にお香が突き刺さっていて犯された痕跡があり、このお香と同じものをシバさんの店で見つけたルイはシバさんがアマを殺した犯人ではないかと疑う。また死体の爪が剥がされていて、身体中にタバコの火が押し当てられた跡もあり、犯人がサディストでバイセクシャルということからもシバさんが犯人である疑いが強まっていく。ルイはその後、シバさんと暮らし始め、シバさんと一緒に寝ていたが、夜中に起き上がったルイは、以前にアマがルイに暴力団風の男を殴って取った歯を砕き飲み込みアマの愛の証を体内に取り込んだと実感する。ラストは渋谷のスクランブル交差点の真ん中でルイがうずくまる様子が映って終わるというこれからルイはどうなってしまうのだろう…と感じさせるような哀し気な終わり方でした。
『蛇にピアス』という作品全体に漂う独特の世界観
この作品の一番の見せ場は先に記述した吉高さんの演技以外にどこかと聞かれても思い浮かびません。それは作品のはじめから終わりまで濡れ場があり、バイオレンスさもあり、入れ墨を彫ったり舌にピアスを開けるシーンもあったりと少し見るのが怖い場面もあるけれど、引き込まれてしまう世界観が描かれ全てが見せ場であるからです。特に赤い色のモヒカンでスプリット・タンのアマと全身入れ墨が彫ってあり、顔面ピアスだらけのシバさんの強烈なインパクトのある見た目、ルイがシバさんに入れ墨を彫ってもらうシーンは痛そうですがリアルで目が離せません。
評価が分かれる『蛇にピアス』
『蛇にピアス』を観た人の評価は観てよかったという人と観なければよかったと大きく分けて二つに分かれます。暴力や性描写が作品の中に多くあるので、万人受けする作品ではないでしょう。また観終わった後もなんだかモヤモヤとスッキリしない気持ちになる人が多いようです。逆に言えば、万人受けを狙っていないコアな作品とも言えるので、アングラ系な世界観が好きな人には受けるのではないでしょうか。また、身体を張った主演の吉高さんの演技を称賛している人も多いようです。
まとめ
『蛇にピアス』は俳優陣の演技、ストーリーと映像の濃さが魅力の作品です。正直また観たいとはならない作品かもしれませんが、刺激的な一本であることは間違いありません。まだ観たことがない人にも一度は見て欲しい作品です。