WBCとWBAの両団体の世界スーパーフライ級チャンピオンに輝くなど昭和50年代を代表するボクサーとして一線を風靡した渡辺二郎氏は、引退後は別の面で注目を集めることになります。平成7年の恐喝未遂事件による逮捕を皮切りに、平成11年の銃刀法違反による逮捕および服役、平成19年は有名タレントの未公開株詐欺事件への関与による逮捕、さらに平成24年には詐欺容疑で逮捕されています。
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ちなみに、平成19年の事件に関する報道において、指定暴力の二次団体の関係者であることが報道されており、これが正しければ現在の渡辺二郎氏は「ヤクザ」ということになります。現役時代のクレバーなイメージとは真逆の方向に進んだように思えてなりませんが、実は少年時代から「淡路の二郎ちゃん」として有名な存在だったとも言われています。
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このために、渡辺二郎氏の場合は一部のボクサーが引退後にたどる、いわゆるボクサー崩れとして裏街道に身を持ち崩したのとは異なり、現役時代から暴力団関係者とのかなりの付き合いが既にあったとみられています。なお、度重なる不祥事により、一般社団法人日本ボクシングコミッションは、平成19年に渡辺二郎氏を今後一切世界王者の列に加えないという方針でライセンスの無期限停止処分を下しています。
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これにより、具志堅用高氏に次ぐ世界タイトルマッチ12連勝や事実上のタイトル統一、日本人世界チャンピオンとして史上初めての海外での防衛成功などの輝かしい実績は、テレビなどのオープンメディアでは紹介されることはなくなりました。つまり、事実上の永久追放で今後は、いなかった人として扱われるということになります。ファンやマニアの間では日本人史上最高のボクサーとして推す人も少なくないだけに、かなり残念な状況になってしまったということになります。
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一方、渡辺二郎氏が相談役を務める暴力団組織も会長と若頭が引退して以降は内紛や分裂が噂されており、順風満帆とはいかないようです。このために、渡辺二郎氏が何時までこの世界にとどまっているのかは未知数で、再び実業家への転身という可能性も決してゼロとは言えません。
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なお、引退後に何度も逮捕された渡辺二郎氏ですが、傷害や暴行などの問題は一度も起こしていません。つまり、素人にボクサーとしての拳を振るうことはなかったということです。この辺りは、渡辺二郎氏にとっての最後のプライドということなのかもしれません。