逆走した車…
1月9日朝、女子高生が車にはねられる事件がありました。
事件があったのは前橋市北代田町です。
自転車で登校中の市立前橋高校の女子高校生2人が乗用車にはねられ重体となっていましたが、そのうちの1人で1年生の太田さくらさん(16)が3週間後に死亡しました。
車を運転していたのは、85歳の川端清勝容疑者です。
事件の詳細はこうです。
川端清勝容疑者が運転する乗用車がセンターラインをはみ出し、対向車線で右折待ちをしていた車のサイドミラーに衝突し、そのまま対向車線を逆走します。
約130メートル先で縁石に乗り上げると同時に太田さんを正面からはねました。
その後、民家のブロック塀に衝突し、太田さんの後方にいた高校3年生の大嶋実来さん(18)も巻き込みました。
アクセル踏み間違えか?
中日本自動車短期大学の森本一彦教授は、「アクセルとブレーキを踏み間違え、パニックになったのでは」と分析します。
「直前に対向車線の右折待ちの車と接触して気が動転し、アクセルを踏んでいることに気づかず、停止できなかった様子がうかがえる」と語りました。
万が一、踏み間違えだとして、「ミラーの接触事故を起こした地点からアクセル全開で走行した場合、太田さんと衝突したときには時速70キロに達していた可能性が高い」とも指摘しています。
一方、元宮城県警交通警察官で日本交通事故調査機構の佐々木尋貴代表は「うっかりで起こった事故ではない」と語ります。
当時、川端容疑者の前方の車は渋滞していたといい、それにもかかわらず異様な速度で走行していた川端容疑者の車。
対向車線を暴走し、さらに太田さんやブロック塀にぶつかった様子から、「時速70キロ~80キロ出ていてもおかしくなく、アクセルを相当踏み込んでいるのは間違いない。アクセルとブレーキの踏み違えというより、速度感覚がまひしていたのでは」との考えを見せました。
家族は運転を反対
事故を起こした川端容疑者ですが、日頃から家族に運転を止めるように言われていたといいます。
家族から「車はやめて」と日常的に言われていたにも関わらず運転していたのです。
さらに物損事故を繰り返していたことも発覚しており、目撃証言では、「物損事故を起こした後に逃げようとしていた」というものもありました。
川端容疑者は、交際中の女性が待つ、地元の老人福祉センターに通うために車を運転していたといわれています。
高齢者ドライバーの事故
高齢者が運転する車による交通事故が多発しています。
65歳以上の高齢ドライバーによる事故の割合は年々増加しているといい、2016年では事故全体の22.3%を占めたともいわれています。
高齢になるとハンドル操作がうまくいかなかったり、ブレーキやアクセルの踏み間違えなどが増えるといいます。
高齢者ドライバーによる事故が多発し、免許返納の声が強まる中、実際には上手くいかない現状もあります。
例えば、自宅からスーパーや病院まで行く手段が車しかない田舎では、車無しでは生活ができないのです。
また高齢者ドライバーのほとんどが、自分は大丈夫だという思いから免許返納に応じてくれないことも多いといいます。
またこんな話もありました。
相次ぐ高齢者ドライバーの事故を見て、無事故無違反だったある高齢者ドライバーが自分も事故を起こしかねないと免許を返納しました。
しかし、車を運転しなくなると、生気が消えたように塞ぎ込み、足腰も弱くなってしまったのです。
さらには、嫁や家族に怒鳴り散らし認知症まで発症したといいます。
家族は、免許証を取り上げず、今までのように運転させていれば、ボケることもなかったのかもしれない…と悩む日々が続いています。
高齢化が進む中、高齢者ドライバーの数も今後増え続けるでしょう。
高齢社会に合わせた対策が必要となりそうです。