美しく輝く歯茎は 話をするとき、笑顔になったときにも 清潔感と好印象をもたらします。できるビジネスパーソンは、歯だけでなく歯茎の状態にも敏感です。仕事ができる人で、歯茎が黒く変色していたり、赤く腫れ上がっていたりする人は殆どいないそうです。
なぜかというと、歯茎の健康をおろそかにすると、最悪の事態に発展してしまうことを知っているからです。
それは 実は「歯周病」という歯茎の病気から始まります。
ご存知の方も多いとは思いますが、歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる歯茎の炎症性疾患です。
「歯を失うだけでなく、命にかかわる重大な疾患を引き起こす可能性がある。初期症状を軽視しないことが重要だ」と、歯学博士の井上裕之氏は説いています(『「歯」を整えるだけで人生は変わる』(日本実業出版社)
歯周病セルフケアをサポートするさまざまなアイテムを発売しているシステマ(ライオン)が、「平成28年歯科疾患実態調査」(厚生労働省)を基に発表した情報によると、30代以上の3人に2人が歯周病に罹患していると言います。現在、日本人の実に8割以上の成人が歯周病にかかっているため 国民病と言っても過言ではないでしょう。
「痛くないから」と放置すると…
歯磨きをはじめとする日々のケアが不十分なことにより、歯と歯茎の境目に歯垢(しこう(プラーク)がたまると、多くの細菌が停滞することになり、歯茎が炎症を起こしてしまいます。痛みはほとんどありませんが、赤くなったり腫れたりします。歯周病は自覚症状が少なく、痛みもなく進行するため、気がつかないうちに重度になっていることが多々あります。
そして病状が進行すると、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の境目の溝が深くなり、歯の土台である歯槽骨(しそうこつ)が溶け始めます。歯槽骨が溶けてしまうと、歯がグラグラと動くようになり、最終的には歯が自然に抜けてしまったり、あるいは治療上、人為的に抜歯をしなければならなくなったりします。
歯周病の始まりのサインは、「歯茎の腫れ」「歯茎からの出血」「口臭」「朝起きたときの口のねばつき」などですが、こうした症状で「歯医者に行かなくては!」と思う人は多くありません。
しかし 歯周病を放置すると、最終的に歯を失うことになります。歯を失ってしまうと、見た目が悪くなるだけでなく、健康にも悪影響が及びます。そこまで考えて、きちんとした手が打てるかどうかが大事なのです。
虫歯の治療だけでなく歯周病治療に関しても、ビジネスに対する姿勢が反映されているとさえ言えます。すなわち、ビジネスにおける「先読み」と同じことだからです。
楽観視は禁物!歯周病は命にかかわる
できるビジネスパーソンには先を読む力があり、今起きている問題を軽視せずにきちんと向き合おうとする姿勢があります。だからこそ、進行すれば最終的に歯が抜けてしまう可能性のある歯周病に対しても、抜かりなくメンテナンスをしている人が多いのです。
歯周病は、まさに「サイレントキラー」。無自覚のまま進行し、ある日突然命にかかわる病気を引き起こす可能性があることを知っているからといえます。歯周病になることで、どんな病気にかかりやすくなるかと言うと…
・心臓病
血管の中に“プラーク”と呼ばれる沈着物が作られて、血管が狭くなったり詰まったりすることによって起こる病気が、心臓のポンプ機能が働かなくなる心筋梗塞や、心臓に血液が供給されなくなる狭心症などの「虚血性(きょけつせい)心疾患」です。
最近、この虚血性心疾患の原因となる血管内沈着物の形成を促進するのが、歯周病原性細菌なのではないかと考えられるようになってきました。歯周病に罹患している人の、これらの病気の発症リスクは、歯周病を持たない人に比べて15〜20パーセント高まると言われています。
・脳血管疾患(脳梗塞)
心臓の病気と同様の理由から、発症が心配されるのが脳梗塞です。
歯周病の人はそうでない人に比べて、なんと2.8倍も脳梗塞になりやすいと言われています。
すでに血圧やコレステロール、中性脂肪が高く、脳血管疾患の発症リスクの高い人は、特に歯周病の予防が重要です。
・糖尿病
生活習慣病としてよく知られている糖尿病も、歯周病が影響している可能性が指摘されています。
糖尿病になることで歯周病になりやすくなり、また、歯周病になることで生成される炎症性物質が、血糖値を低下させる働きをするインスリンの働きを阻害することもわかりました。歯周病があることで、血糖コントロールがしにくくなるのです。
糖尿病のみならず、糖尿病が引き起こす合併症についても考慮すると、その脅威はかなり大きなものになります。point 210 | 1
そのほかにも、誤嚥性肺炎や動脈硬化、骨粗鬆症、女性の場合は低体重児出産、早産の可能性が高まる……など、歯周病によるさまざまな体への悪影響が指摘されています。
また近年では、歯周病の病原菌がアルツハイマー病の発病に関連しているという研究結果も出ています。
このように、歯周病はたんなる歯茎の疾患ではなく、命をも左右する重大な疾患です。しかし、日本人の多くがその事実に気づいていません。または気づいていても、「自分は大丈夫だろう」と楽観視しています。だから、日本人成人の8割が歯周病という深刻な状況なのです。
まずは 歯周病のセルフチェックから
下記は 日本臨床歯周病学会のHPに掲載されているセルフチェックです。
ぜひ、ご自身の歯茎の状態をチェックしてみてください。
そしてもし問題があるなら、すぐに治療を始めるようにしましょう。早期発見・早期対策が何よりも大事です。
先送りしても自然に治らない!ビジネスにも言えること…
歯を適切にメンテナンスすることは、健康を守る上で必須なのです。歯周病を防ぐためにも、適切な歯のメンテナンス、特にクリーニングが欠かせません。
歯周病は、先送りしても自然に治ることはありません。
今ある問題や問題の火種を敏感にキャッチし、それが後にどうなるか、先読みして対策を“今”やっていくこと、それはビジネスにも通じる姿勢といえることでしょう。