24時間テレビといえば、歴史あるチャリティー番組として毎年多額の寄付を集め、社会福祉に多大な貢献をしています。近年では「偽善だ」「障がい者を見せ物にしている」「出演者はギャラが出るのか」なども含めた毀誉褒貶はあるものの、まだまだ人気番組であり続けており、今後も無くなることはないと思われます。そんな24時間テレビの名物であり、目玉とも言えるのが「24時間マラソン」という企画。初回はマラソン芸人としても有名な間寛平さんが走り、大好評を博したためその後定番となりました。
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24時間テレビの開始と同時にスタート地点を出発し、24時間かけて番組フィナーレと共に武道館(番組エンディングの中継地)に駆け込んでくるという形が取られています。しかしこの24時間マラソン、ある時期から「やらせではないのか」「本当に100km(公式発表の走行距離は100kmが多かったため)走ってるのか」「途中で車に乗ってるんじゃないか」などの疑惑が噴出するようになります。
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疑われるきっかけはいくつもありますが、まず24時間マラソンが何年も行われているのに毎回計ったようにフィナーレのタイミングで走り終わり、MC陣と感動の御対面をするということ。長距離を走れば人によっては故障で遅れたり、あるいは逆に早く着きすぎるということがあるほうが自然です。それなのに一度もそういったことがなかったため視聴者が「時間調整してる」と感じてしまうのでしょう。他にも、ネットやSNS、携帯電話のカメラ機能が発達していない時代には監視が行き届かずこっそりランナーがタクシーに乗るのを目撃したなど、真偽のわからない噂が立っていたことも疑惑を大きくさせました。point 341 | 1
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視聴者の疑惑を決定的にしたのは2002年の24時間マラソンで、この年のランナーはタレントの西村知美さん。西村さんに課せられた走行距離は100kmで、途中ペースが上がらず苦しんだ西村さんは「残り3時間で30km走らないと番組終了に間に合わない」という状況に追い込まれます。そしてその1時間後、衝撃的な表示が視聴者の目に飛び込んできます。再び中継された西村さんの残り走行距離が「10km」となっていたのです。先ほどの状況から逆算すると西村さんは「1時間で20km走った」ことになります。これは女子のハーフマラソン世界記録(21kmをおよそ1時間で走破)に並ぶレベルの走力であるため、「不可能とは言いきれないけどほぼヤラセだろう」と言われる結果を生みました。point 392 | 1
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ネット上では「西村知美ワープ事件」と呼ばれ、この年以降に大きな変化が24時間マラソンに現れます。それは、ネット上の有志による「ランナーの監視」でした。もともとネット上では24時間テレビに疑惑や不快感を持つ声が多く、「ゴミ拾い企画の前に有志がゴミを拾ってしまう」などの活動が行われていましたが、新たにヤラセ疑惑のあるマラソンも自転車やマラソンで有志が追いかけ、不正がないかどうかをチェックするようになったのです。それから時代は変わって現代では、ほぼ全員がカメラ付きスマホを持ち、なんらかのSNSにすぐに目撃情報を画像・動画付きでアップできる環境ですから車での移動等の不正は非常にしにくくなっています。point 368 | 1
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また、2009年には24時間テレビとは直接の関係はないものの、タレントの松村邦洋さんがマラソン企画中に心肺停止となり、あわやというところで生還する事故が起きました。こういった危険性や、視聴者の監視を受けて24時間マラソンも近年では無理のない走行距離やコース、走力があるランナーを選ぶようになっており、ここ数年では車の移動などは無くなっていると考えて良いでしょう。名物企画ではあるもののマラソン自体の必要性を問う声も上がっており、いつまでこの企画が続くかは微妙なところと言えそうです。point 312 | 1