2020年以降、正社員サラリーマンの懐がかなり厳しくなりそうだと予測されています。
同一労働同一賃金の導入で、各種手当が削減される可能性が高まっていることに加え、年収850万円以上の人については実質増税となる予定です。
日本では、正社員と非正規社員との間に極めて大きな賃金格差が存在していました。正社員と非正規社員が異なる種類の労働をしているのであれば、まったく問題なかったのですが、現実は違います。
事実上の人員整理で、正社員だった人が仕事の内容や責任が変わらないまま非正規に移行されられたケースや、正社員の採用をストップし、同じ仕事を非正規で募集するケースが増えていました。このような場合、同じオフィス内で正社員と非正規社員が全く同じ仕事をしているにもかかわらず、待遇に圧倒的な差がつくことになります。
同一労働同一賃金が導入されれば、こうした待遇格差は違法となるので、企業はこれを是正する措置の実施に迫られています。両者の格差を是正する方法は、非正規社員の賃金を上げるか、正社員の賃金を下げるしか方法はなく、現実にはその両方が実施されると、専門家たちは見込んでいます。
来年から年収が減少する正社員サラリーマンが増加すると予想されるのは、18年6月に成立した働き方改革関連法が20年4月から本格的に施行されるからです。働き方改革関連法には、残業規則や同一労働同一賃金といった内容が盛り込まれていますが、企業活動への影響が大きいことから猶予期間が設けられていました。
残業規制については大企業が19年4月からの対象となっており、すでに残業代が激減した人が続出していますが、20年4月からはいよいよ中小企業もその規制の対象となります。中小企業の社員で、残業代込みで年収を維持していた人は、生活が苦しくなることが既に問題視されています。
また、残業規制よりも企業に対する影響が大きいといわれているのが、同一労働同一賃金です。これは同じ仕事をしている社員については、正社員と非正規社員との間で原則として待遇格差を設けてはいけないというもので、これがいよいよ20年4月(中小企業については21年4月)から施行となります。
非正規社員の賃金が上がるのは非常によいことなのですが、現実はそれだけでは済まない可能性が高いといいます。企業は総人件費の上昇を強く警戒しており、非正規社員の賃金が増えた分は、正社員の賃下げで対応しようとする企業が出てくるからです。
賃下げといっても、基本給を減らすわけにはいかないので、最初のターゲットとなるのは各種手当てだと言われています。正社員には、さまざまな手当が支給されており、基本給ではなく手当てによって相応の年収が確保されているというのが現実。
手当には、役職手当、住宅手当、地域手当、通勤手当などさまざまなものがあります。20年4月以降は、こうした手当が見直しの対象になると予測されています。手当によって年収が確保されていた人は、これが削減されてしまうと大幅な年収ダウンとなってしまします。
本来であれば、基本給として労働者に支払うべきところを、企業の勝手な都合から手当てとして各労働者に還元されていました。それが、今となってはこれらの手当が格好の賃金削減策になろうとしているのです。
公務員は民間とは正反対に、毎年、賃金が上がっているので大きな問題は起きないだろうと言われていますが、民間企業の場合には、各種手当が逆に労働者の首を絞めることにもなりかねないのです。
日本のサラリーマンの給与水準は、年々低下していっています。日本政府は、この現状を正確に把握してるのでしょうか。